遺言の種類と特徴

遺言の種類と特徴

近年、遺言に関する書籍が多数出版され、遺言を作成される方も、多くなっていると感じます。

今回は遺言の種類や特徴について、お話しさせていただきます。

遺言の種類と特徴
相談者
相談者

私もそろそろ年なので、自分の相続で親族が揉めないように、遺言書を作成しようと思っています。
遺言書を作成するには、どうしたらよいのでしょうか。

弁護士
弁護士

遺言書にはいくつか種類があります。
よく用いられるのは、①自筆証書遺言と、②公正証書遺言です。
自筆証書遺言は、ご自身で簡単に作成出来て、費用もかかりません。
公正証書遺言は、公証人という法律の専門家に作成してもらうもので、一定の費用がかかります。

相談者
相談者

自筆証書遺言を作成するにはどうしたらよいのでしょうか。

弁護士
弁護士

自筆証書遺言を作成するには、遺言の全文、作成した年月日、ご氏名をすべて自筆で書いていただき、押印をします。
押印は認め印で結構です。
遺言を記載する用紙に指定は無く、便せんやノートなどに記載される方が多いです。

相談者
相談者

なるほど、これであれば比較的簡単に作成できそうですね。
自筆証書遺言を作成した後は、どうしたらよいのでしょうか。

弁護士
弁護士

遺言書はご自身で保管していただくか、相続人のどなたかに預けておくのが一般的です。
ご自身で保管する場合は、相続の際に遺言書が見つかるように、分かりやすい場所に保管するか、予め相続人の方に保管場所を伝えておくのがよいでしょう。

相談者
相談者

自筆証書遺言のデメリットなどはあるのでしょうか。

弁護士
弁護士

自筆証書遺言は、作成の際に法律の専門家が関わることがありませんので、相続開始後に遺言の有効性が争われる可能性があります。
たとえば、一部の相続人から、「この遺言書は偽造されたものだ。」とか、「遺言の作成当時に作成者には既に判断能力が無かった。」といった主張がされることがあります。
また、遺言書の保管も、原則ご自身や相続人がすることになりますので、紛失や汚損の恐れもあります。

相談者
相談者

遺言書を自分で保管するのは落ち着かないですし、他人に預けるのも少し不安があります。
遺言書を保管してくれる公的な機関は無いのでしょうか。

弁護士
弁護士

最近、法務局における自筆証書遺言の保管制度が創設されました。
お住まいの近くの法務局に遺言書の保管申請をすることで、法務局で遺言書を保管してもらうことができます。

相談者
相談者

それは安心ですね。
もう一方の、公正証書遺言はどのようなものなのでしょうか。

弁護士
弁護士

公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が遺言の内容や形式をチェックし、本人と対面して意思確認をした上で作成されます。
そのため、遺言書が偽造されたとか、判断能力が無いままに作成されたなどといったことで遺言の有効性が問題となる可能性は低いです。
また、遺言書は公証役場で保管されるため、紛失等の危険もありません。

相談者
相談者

公正証書遺言を作成するにはどのようにしたらよいのでしょうか。

弁護士
弁護士

まずは遺言書の原案を作成して、お近くの公証役場に電話等して、公正証書遺言を作成したい、と連絡をします。
そして、公証人と連絡を取りつつ遺言書の内容を確定させて、最後に公証役場に行って公正証書遺言を作成するという流れが一般的です。

相談者
相談者

費用はどのくらいかかるのでしょうか。

弁護士
弁護士

遺産の額や遺言書の頁数によって変動しますが、例えば遺言書が4頁以下で、遺産の額が1,000万円を超え3,000万円以下であれば3万4,000円、5,000万円を超え1億円以下であれば5万4,000円になります(※)。

相談者
相談者

それほど高額ではないのですね。
安心しました。
自筆証書遺言にするか公正証書遺言にするか、少し考えてみようと思います。

(※)公正証書遺言の作成費用は、手数料令という政令で法定されています。
作成に際しては、手数料令をご確認いただくか、お近くの公証役場にお問い合わせください。

まとめ

ご自身の財産を公平に分配するために、またご自身の相続が原因で相続人間に紛争を生じさせないように、遺言書を作成しておくことは非常に大切です。ぜひご相談ください。

(2021年8月)
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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