亡くなった父親が再婚していた場合の遺産分割

亡くなった父親が再婚していた場合の遺産分割

弊所では相続についてのご相談が非常に増えております。

様々なご相談の中でも、比較的紛争となる確率が高いのが、お子さんがいらっしゃる方が離婚され、その後再婚された後に亡くなられるケースです。

今回は、このようなご相談についてご紹介いたします。

亡くなった父親が再婚していた場合の遺産分割
相談者
相談者

私の父が先日亡くなりました。
父と母は、約20年前、私の妹が2歳のころに離婚しました。
父は、その後再婚したようで、今回、父が死亡した旨の連絡は、再婚相手のAさんからありました。
この場合、父の相続人は誰になるのでしょうか。

弁護士
弁護士

現在の配偶者である①Aさんと、子どもである②あなた及び③妹さんが相続人になります。
離婚した元配偶者には、相続権はありませんので、あなたのお母さまは、相続人とはなりません。

相談者
相談者

そのほかの人が相続人となる場合もありますか。

弁護士
弁護士

はい、たとえば、お父さまとAさんとの間にお子さんがいらっしゃる場合には、そのお子さんも相続人になります。
なお、このお子さんというのは、Aさんのお子さん(連れ子)と、お父さまが養子縁組している場合も含まれます。

遺言の種類と特徴
相談者
相談者

では相続人は、3人だけかどうかわかりませんね。
ちなみに、父母が離婚したのは、20年以上前のことです。
以後、母は、父と全く連絡をとっておらず、私や妹も、父と連絡をとることはありませんでした。
このように一切交流がなくても、相続人ではなくなるということはありませんか?

弁護士
弁護士

はい、交流状況により、相続人でなくなるということはありません。
親子関係がある以上、相続人となることに変わりはないです。

相談者
相談者

Aさんからは、父が死亡したので、協議したいという内容だけの簡単な手紙が届いたのですが、今後はどのような流れになるでしょうか。

弁護士
弁護士

遺言書があるかどうかによって変わります。
遺言書がある場合、基本的には、遺言書によって相続内容が決まります。
例えば、全財産をAさんに相続させるという内容である場合には、法律上定められているあなたや妹さんの最低限の取得分(遺留分)が侵害されている可能性が高いので、遺留分侵害額の請求をすることが考えられます。
遺言書がない場合には、原則として遺産分割協議をすることになります。

相談者
相談者

遺言書があるかどうかは、Aさんに聞けば分かるのでしょうか。

弁護士
弁護士

そうですね、おそらくAさんは遺言書に基づく権利があることを主張されるでしょうから、遺言書がある場合には、Aさんの方から開示されるでしょう。
もちろん、Aさんから開示されないことも考えられますが、例えば公正証書遺言であれば、公証役場で、あなたが遺言書の有無を調べることもできますよ。

相談者
相談者

遺言書があることは多いのでしょうか。

弁護士
弁護士

お父さまのように再婚されている方は、相続関係が複雑になるため、遺言を作成されていることも多いですね。
もっとも、亡くなられた年齢や、生活状況、財産状況、病歴などにもよりますので、遺言書が作成されていない可能性も十分にあります。

相談者
相談者

遺言書があったら、その内容に従うほかないのでしょうか。

弁護士
弁護士

いえ、遺言書の有効性を争うことも考えられます。
たとえば偽造されたものであるなどの可能性もありますからね。
実際に、遺言書が偽造されたものであると裁判で認められたケースもあります。

相談者
相談者

遺産がどのくらいあるのかによっても対応は異なりますよね。
遺産の内容もAさんに尋ねるのでしょうか。

弁護士
弁護士

そうですね、まずは尋ねてみていただくことが考えられます。
その結果、詳細な遺産の内容が明らかになるかもしれませんし、遺産内容に不明確な点がある場合には、相続人として、ご自身で遺産内容を調査した方がよいこともあります。

相談者
相談者

Aさんとは全く交流がなかったので、直接話し合うのはとても気が重いのですが、弁護士に任せることもできるのでしょうか。

弁護士
弁護士

はい、もちろん可能ですよ。 ご依頼いただいた場合には、こちらから、Aさんに対して書面を送付し、Aさんとの間で協議を進めることになります。
Aさんの方でも弁護士に依頼し、弁護士間での協議になることもありますよ。

相談者
相談者

分かりました。今後どのように進めていくか、一度妹とも相談してみます。

まとめ

ご親族が亡くなられた場合には、相続人間で協議する前に、一度弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

(2022年1月)
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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