遠隔地で遺産分割調停が申し立てられた場合

遠隔地で遺産分割調停が申し立てられた場合

遺産分割調停の管轄は、相続人同士で合意ができない場合、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所になります。

そのため、例えば、相続人が3人いて、そのうち2人が福岡県に住んでいて、1人が名古屋に住んでいる場合、福岡県に住む相続人は、もう1人の福岡県に住む相続人の住所地を管轄する家庭裁判所として、福岡家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。

遠隔地

この場合、名古屋に住む相続人が調停期日の度に、福岡家庭裁判所に出頭しなければならないとすると、時間的にも、経済的にも大きな負担となります。

そこで、このような負担を回避する方法をご紹介します。

1.電話会議による方法

家事事件手続法には、遺産分割調停は電話会議で出頭することができるという規定があります。

調停期日に、電話で福岡家庭裁裁判所の調停員の方とやり取りすることで、毎回遠方に行かなければならないという負担を回避することができます。

もっとも、電話会議が認められるかは、遺産分割の内容や相手方の意見を考慮したうえで、最終的には裁判所が決定するので、場合によっては電話会議が認められない場合もあります。

2.現地の弁護士に依頼する方法

上記の例でいえば、福岡県の弁護士に事件の依頼をする方法です。

弁護士との事前の打ち合わせは電話等で行い、調停期日当日は、福岡県の弁護士のみで出頭すれば、名古屋に住んでいる相続人が期日のたびに毎回遠方に行く必要はありません。

もっとも、弁護士とは電話等でしか連絡を取れないため、弁護士に細かな情報まで理解してもらうことが難しかったり、信頼関係を築きにくかったりするという欠点もあります。

3.相続分を譲渡する方法

自身の相続人である地位を、他の相続人に譲渡する方法です。

上記の例でいえば、名古屋に住む相続人が、福岡に住む他の相続人のどちらかに、自己の相続分を買ってもらい、相続手続から離脱することになります。相続分を譲渡すると、相続人としての地位を失うので、以後の遺産分割に参加することができないので注意が必要です。

相続人間で対立が激しく、そもそも相続分を譲渡する話し合いができない場合や、相続分の譲渡の対価をいくらにするのかで合意ができない場合は、この方法を使うことができません。

まとめ

遠隔地に遺産分割調停が申立てられた場合、主な対処法としては以上のようなものが考えられますが、どのような方法が最適かは事案によります。お困りのことがありましたら、お早めに専門家に相談されることをお勧めします。

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