相続問題についての知識
相続法改正で請求可能に!!相続人以外の者から相続人に対する特別寄与料請求
長年にわたり、義父の介護をしてきたのに、義父の死亡に際し、義父の遺産を一切受け取れない…。
従前、このようなケースがありましたが、令和元年7月1日以降に開始した相続については、特別寄与料として、遺産の一部を受け取ることができるようになりました。
この新しい制度について、ご紹介いたします。
ケース
相続人:長女のみ
※長男は既に他界しており、長男に子どもはいない。
長男の妻は健在で、被相続人の生前、長男の妻が被相続人の介護を行っていた。
どのように変わったの?
- 改正前
被相続人が死亡した場合、相続人(長女)は、被相続人の介護を行っていたか否かに関係なく、相続財産を相続することができます。長男の妻は、相続人ではないため、被相続人の介護を長年行っていたとしても、被相続人の遺産を一切受け取ることはできません。 - 改正後
被相続人の遺産を相続した相続人(長女)に対し、介護等の貢献度に応じた特別寄与料を請求することができます。
特別寄与料の概要
誰が請求できるの?
請求できるのは、特別寄与者、つまり、「無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持または増加についての特別の寄与をした被相続人の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)」です。
どんな場合に請求できるの?
次の3点を全て満たしている場合にのみ、請求できます。
- ①被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたこと
- ②そのことによって、被相続人の財産が維持又は増加したこと
- ③被相続人の親族であること(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)
特別寄与料はいくら?
特別寄与料の額は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情(相続債務の額、遺言の内容、遺留分、特別寄与者が生前に受けた利益等)を考慮し、決められます。
※なお、特別寄与料の額は、被相続人が、相続開始の時において有した財産の価額から、遺贈の価額を控除した残額を超えることができません。
どのように請求すればよいの?
特別寄与者は、相続開始後、相続人に特別寄与料の支払いを請求することができます。協議が整わない場合は、特別寄与者は、家庭裁判所に対し、協議に代わる処分を求めることができます。
請求期限は?
特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過したとき、または、相続開始の時から1年を経過したときは、特別寄与料を請求できなくなります。
いつから適用されるの?
令和元年7月1日以降に発生した相続に適用されます。
※相続が施工日後に発生していれば、療養看護したのが施行日前でも請求可能です。
以上、特別寄与料についてご紹介いたしました。
特別寄与料をどのように算定したらよいか分からない場合、協議が整わない場合、また、家庭裁判所に協議に代わる処分を求めたい場合等は、一度、私共にご相談ください。