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相続問題についての知識

生前に引き出された預貯金をめぐる訴訟の問題(引出の権限)

1 生前に引き出された預貯金をめぐる紛争はよくある?

生前に引き出された預貯金をめぐる紛争はよくある?亡くなれた方の預貯金口座を管理していた者が預貯金を勝手に引き出し、多額の預貯金が失われてしまうというのは、よくあることです。 その際、不当利得返還請求・不法行為に基づく損害賠償請求ができることは、既にご説明しました。(預金の使い込みについて

この問題はよくある問題であるにもかかわらずまとまった書籍などは無く、裁判所の判断はケースバイケースだと言われています

名古屋地方裁判所では、このような問題について裁判官が研究を行い、一定の知見が得られていますので、今回はこれについてご紹介させて頂こうかと思います。

2 預貯金を引き出す権限はあったの?

この手の紛争でよく争いになるのは、亡くなられた方から預貯金を払い戻す権限を与えられていたか否か、という点です。 訴えられた側は、自分は亡くなられた方(被相続人)から権限を与えられていた、なので違法なことは何一つしていない、よってお金を返す理由は無い、と争うことになります。

このような権限があったことを原告と被告のどちらが主張立証するべきでしょうか。

もし、原告が主張立証しなければならないなら、原告は被告の無権限を主張立証しなければなりませんが、結構大変そうです。離れて暮らしていたならば尚更です。生活の実情を知りませんから。

他方、被告が主張立証しなければならないと、通常、親密な関係だと書面(たとえば委任状とか)で権限を授与するということはあり得ないですから、権限を与えられたという証明ができず、これもまた大変そうです。

預貯金を引き出す権限があったことを立証すべきなのはどっち?

これについて、裁判官の実感としては、
実際の事件においては、引出権限の存否は殆ど認定ができ、あまり原告被告のどちらが主張立証責任を負担するかで差が無いのではないか、とのことです

すなわち実際の裁判では、
引出権限の内容や発生原因事実について引出者側(被告)に説明をさせ、その後に、請求者側(原告)に反論をさせ、引出者側の説明に合理性があるか否かによって引出権限の存否を判断する
のだそうです。

医療費たとえば、引出の際に、その引き出したお金が本人が病院に入るための医療費として必要であり、また入院期間中の本人の小遣いとして引き出されることになり、引き出すように依頼されたと被告が主張した場合には、そのような権限を授与するのは自然であり、特に原告からの反論が無い場合には、被告の引出権限を認定できるのでしょう。

訴訟の序盤戦では、このように、引出権限について具体的な主張の応酬がなされ、請求がそもそも認められるかが議論されることになります。

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