依頼者:甥
相手方:配偶者

事案内容(相談までの背景)
被相続人(伯父)が死亡したところ、その配偶者との間には子供がいませんでした。
また、伯父は遺言書を書いていませんでした。
そのため、依頼者(甥)にも法定相続分4分の1がありました。

配偶者の代理人弁護士から依頼者宛に、相続放棄をしてくれないか、という通知書が届いたので、どう対応したらよいか、と甥の方から相談がありました。
伯父と配偶者とはあまり仲が良くなかったことから、伯父の預貯金を無断で引き出した疑いもあるので調べてほしい、とのことでした。

 
問題点
まず、当然ですが、甥の立場としては、法定相続分があることの主張をする必要があります。
また、配偶者において、過去に問題のある預貯金の引き出しをしていなかったか確認する必要もありました。

 
解決内容
弁護士照会で過去の被相続人の預貯金の動きを調べましたところ、死亡の3年前、それから直前にまとまった出金がありました
ただ、解約伝票等も取り寄せましたところ、いずれも本人が払い戻したという証拠があり、配偶者は使い道を知らない旨主張されました。
そのため、配偶者側に特別受益があるという主張ができず(仮にできたとしても持戻し免除を主張されることになるでしょう。)、そのまま法定相続分である4分の1を主張するしかありませんでした。

結果的に代償金を即金でもらうことができたので依頼者にはそれなりに満足できる結論でした。

 

bengosi解決のポイント(所感)
預貯金の履歴を調べると気になる出金が存在する場合があります。
その場合も、きちんと出金の経過(たとえば定期の解約届出や払戻書の筆跡や押印を見てみないと、誰が出金したのか分かりません
本人が引き出した場合には、その後、何に使ったか、必ずしも判然とせず、相手方が使ったという証拠を示せないことも多いです
あくまで疑惑があってもしっかり調べないと、生前引出の責任を追及することは困難です。見込みだけではうまくいかないことが多いです。
 
初期の段階ならば、相手方に証拠を突きつけて自白をさせるなど、追及次第でうまくいく可能性もあるので、相手方と折衝する前に、専門家にご相談頂き、対策を練って頂くと効果的かも知れません。