依頼者:二男
相手方:兄弟ら及びその子ら

事案内容(相談までの背景)
お父様が亡くなり、お父様名義の財産の整理を行いたいというご相談に二男さんが相談にいらっしゃいました。3人兄弟でしたが、家族の交流は何十年以上も前に途絶え、行方も知らないという状況のため、遺産分割協議ができないのが問題でした。

 
問題点
二男さんは、お父様の遺産を公平に分けたいものの、ご兄弟方との交流が何十年と途絶え、行方が分からないとのことでした。
また、このような事案に多いのが、既に亡くなった方がいたりして、相続人の数が多数にのぼっているケースですが、本件も年齢からみて、そのような可能性がありました。
また、住所は分かっていても、こちらからの連絡に応じてもらえない方がいることも多々ありますが、本件でもそうした方がいらっしゃいました。

 
解決内容
このような場合、真っ先に行うべきは、相続人の確定です。

そこで、まずお父様の戸籍を全て調べたところ、お父様は再婚で異母兄弟がいらっしゃったことが分かりました。次に、新たに判明したご兄弟も含め、全てのご兄弟の戸籍を全て調べました。ご兄弟の中には子供を残してお亡くなりになった方もおり、相続人はやはり多数名になりました。

こうしてやっと交渉の開始です。相続人全てに、お手紙を出し、お1人ずつと交渉をし、多くの方から一定額で相続分を譲渡して頂く合意を得られました。お返事がない方は裁判所に遺産分割調停を申し立てました。調停では、同様の合意を皆様にして頂きましたが、最後にお一人だけ、途中から居留守状態でお返事を頂けなくなってしまった方がいました。そこで、調停から審判に切り替え、裁判所に所在が変わっていないことを再調査し報告し、裁判所による審判によって本件はようやく解決となりました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
相続した遺産の整理をするにあたっては、まず、被相続人の出生時から死亡時までの戸籍を全て調べて、誰が相続人なのか、そしてその方の所在を確定する必要があります。
調べてみると、思いも寄らぬ相続人がいらっしゃるといったことも少なくありません。

また、所在不明な相続人がいる場合は、そういった方については不在者財産管理人をつけ(別途費用や手間がかかります。)、財産管理人と交渉することになります。
他方、所在は明らかであるものの連絡に応じていただけない方も本件ではいらっしゃいました。そうした場合は、「不在者」ではないので財産管理人をつけることができないため、所在が間違いないことを裁判所に調査報告のうえ審判による解決を目指します。

このように、相続人が多数人に渡る場合には、遺産分割は非常に骨が折れるものになってしまいますので、こうした事態が予想されるときには、生前に遺言を残しておかれることが重要です。