依頼者:女性(40代)
相手方:女性(50代)
母親が亡くなり、母親が長女に全財産を相続させるという公正証書遺言がのこされました。
そのため、他の姉弟が長女に対して遺留分侵害額請求を行いました。その中で、長女が相続した不動産の価値について争いがあるため、遺留分侵害額がいくらになるかが争点となりました。
問題点
遺産の中に、老朽化した建物が建っている土地がありました。
また、その建物は第三者に賃貸され、また、敷地の一部は駐車場として賃貸されていました。そのため、収益物件として賃料が不動産価格の根拠資料になるのではないかと議論がされました。
すなわち、賃料は低額であるため、不動産の価値はあまり高くはないのではないか、というのが当方の主張でした。
解決内容
訴訟となり、不動産価格が唯一の争点でしたので、早速不動産鑑定を行いました。
その際には、当該不動産で得ている賃料に関する資料を裁判所に提出し、鑑定士に資料としてもらいました。
鑑定の結果、適正な不動産価格が算出され、相手方が主張する不動産価格に比べると数百万円低くなりました。その結果、遺留分侵害額も低くなり、支払額も減らすことができました。(和解は成立しました。)
遺留分侵害額請求の場合、価値の高い遺産があると、支払うべき金額が増えてしまいます。
その場合、不動産業者による査定をとるのですが、どうしても専門家ではないため、両者の査定には差が生まれるのが普通です。
多くは、両者の中間値をとるのですが、差が大きすぎると、鑑定手続きが必要となります。
鑑定手続きでは、不動産鑑定士という専門家に費用をかけて鑑定を依頼する必要があるため、余計な費用がかかってしまい、あまり合理的ではありません。
本件では、査定の中間値で解決しようと交渉したのですがうまくいきませんでした。
結果、鑑定となりましたが、専門家の正式な意見を踏まえた解決となったため、すっきりして良かったようにも思います。