依頼者:被相続人の長男(50歳)
相手方:被相続人の長女(60歳)
被相続人が、長女に遺産全てを相続させるという遺言を遺したため、長男は遺留分侵害額請求を行使しました。
もっとも、長女から、長男は被相続人の生前に多額の金銭贈与を受けているため、遺留分は存在しないという反論がなされました。
長男は、確かに被相続人の生前に金銭贈与を受けていましたが、長女の述べる金額は、実際に受けた贈与額を遥かに上回るものであったため、長男は争うことにしました。
また、長女も被相続人の生前に、多額の金銭の贈与を受けているという主張をすることになりました。
遺産分割調停では話し合いがつかず、訴訟になりました。
問題点
1.長男が受けた生前贈与の金額
2.長女が生前贈与を受けたこと
を、それぞれどのように立証するかが問題になりました。
解決内容
1.長男が受けた生前贈与の金額
領収書や振込の履歴等の客観的な資料は何もありませんでしたが、被相続人の生前に、長男と被相続人がやり取りした時の録音データが残っていたため、それを証拠とし提出することにより立証することにしました。被相続人の発言内容が曖昧であったため、立証として十分か心配しましたが、準備書面や本人尋問において補足説明を行った結果、長男が受けた生前贈与の金額を具体的に特定することができました。
2.長女が生前贈与を受けたこと
これについても客観的な資料はありませんでしたが、当時の長女の生活状況や被相続人と長女の関係性等を、準備書面や本人尋問において具体的に説明した結果、長女が生前贈与を受けたことも裁判所に認定してもらえました。
3.結果
当方の主張が、ほぼほぼ認められた内容で和解をすることができました。