依頼者:男性(50代)
相手方:女性(70代)

事案内容(相談までの背景)
依頼者のお父様が亡くなり、依頼者としては遺産分割を希望していましたが、相手方となった依頼者の母親は、遺産はないし、すでに依頼者に対して十分に贈与してきたから渡すものはないとして、遺産分割を拒否しました。
 
お父様の遺産についても開示されなかったため、依頼者が銀行などにおいて調査したところ、実際には、遺産として、自宅土地建物や、500万円ほどの預金があることが判明しました。依頼者としては、贈与を受けたことはないため、きちんと遺産分割してほしいが、自分がいくら話をしても聞いてもらえないということで、ご相談に来られました。

 
問題点
生前に、被相続人から贈与を受けている場合、「特別受益」といわれて、遺産分割のときに考慮されることがあります。これは、遺産の前渡しとして生前に被相続人からもらっているものがある場合、遺産分割のときに考慮しないと不公平になるためです。
 
もっとも、親子関係がある場合には、お金をもらっていても、扶養義務の範囲とされる場合もあり、すべてが特別受益となるわけではありません。そもそも、贈与の存在については、その存在を主張する人が証明しなければなりませんが、相手方からは、この点の立証が全くありませんでした。

 
解決内容
相手方に対し、内容証明を送付し、直接交渉しましたが、具体的な贈与の立証はされないまま、依頼者へ遺産を渡したくないと主張されました。やむを得ず、遺産分割調停を申し立て、調停の場で協議することとなりました。調停では、裁判所からも法律上の規定について説明していただき、最終的には生前の贈与について一切考慮せず、法定相続分である2分の1の遺産を受け取ることで調停が成立しました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
お小遣いとして少し渡しただけであるとか、いくらか贈与した「はずである」ということでは、特別受益としては認められません。
 
特別受益を主張する場合には、いつ、いくら贈与したのか、具体的に主張立証する必要があります。このような法的な評価を伴う点が問題になる場合、なかなか当事者間での話し合いでは理解していただくのが難しく、裁判所で調停を行った方がよいことがあります。当事者間の協議で時間を費消してしまう場合もありますので、早期に専門家に相談することをお勧めいたします。