依頼者:妻(60歳代 自営業)
相手方:夫の前妻の子供2名

事案内容(相談までの背景)
夫が急死して(70歳代 無職)、遺産として預貯金とマンションが残りました。前妻の子供と夫は10年以上接触がありませんでしたが、夫の死亡後、前妻の子供からマンションをすぐ立ち退けと強い催促を受けました。相手方は弁護士を付け、その弁護士も同調し、「警察に訴える」等と言って、依頼者へ再三強い説得をしてきました。また、夫の死亡後、依頼者が預貯金の大半を下ろしてしまったことも責められ、当事務所にご相談に来られました。

 
問題点

  1. 妻はマンションからすぐに立ち退く義務があるのか。
  2. マンションから立ち退かないこと、死後預貯金を払い戻したことが犯罪になるか。
  3. マンションの評価の方法・換価方法。

 
解決内容

  1. 刑事事件に発展することはなく、マンションは、依頼者も取得を望まなかったので、立ち退いた上で、双方が不動産売買仲介業者に依頼し、高い方の買い手に売却して、相続分に従い配分しました。
  2. 依頼者が立て替えた葬儀費用約150万円、49日法要費用約22万円を遺産から控除できました。
  3. 飲食業関係の権利は遺産から除外して、依頼者が単独で承継できました。

 

bengosi解決のポイント(所感)

  1. 65歳過ぎたら、遺言(遺言公正証書が望ましい)を作成した方が良いでしょう。
  2. 通夜、葬儀関係の出費、法事費用を立て替えた相続人は、相続財産から控除するよう要求すべきです(裁判例からは難しくても、調停実務で控除する例が少なくないです。)
  3. 飲食業関係の権利は通常遺産に含まれますが、相手方相続人とって無価値な場合もあるので、戦術を考えるべきです。
  4. 不動産の評価方法は、売却する場合は、実際の売値になります。相続人の誰かが取得する場合は、①固定資産税評価額、②路線価、③不動産業者の査定価格、④不動産鑑定士の鑑定価額が挙げられます。