依頼者:長男
相手方:次男

事案内容(相談までの背景)
被相続人の預貯金口座からの不正な出金を行ったとして、依頼者(長男)が、もう一人の相続人である次男から不当利得返還請求の訴えを提起された事案です。
もともと遺産分割調停を争っていましたが、不正出金の問題について双方の主張が平行線を辿ったため、遺産分割調停が不成立となってしまいました。
そのため、遺産分割を審判で、不正出金問題を訴訟で争うこととなりました。

 
問題点
預貯金の不正な引出しの問題では、通常は無断引出しを立証することが困難なことが多く、訴える側の方が基本的には苦労することが多いです。

しかし、本件は、以下の点で、依頼者である長男にとって厳しい事案でした。
1.当人(長男)が預貯金の引出しそのものを一部認める発言をしていたこと
2.引出しが度重なっている点が被相続人の生活状況から考えて不自然なこと

 
解決内容
相手方からの請求の根拠に当方が反論しにくい部分があったのは前記のとおりですが、他方で、おかしな点もありました。
例えば、○月○日に引き出した分は、依頼者の身内が高級時計を購入するのに充てられた、というものがありました。
しかし実際のところ、この時計は自己資金で購入していたものでした。

こうした点をひとつずつ追及していくことで、時計購入に充てられたという引出しについては、訴えの一部取り下げを勝ち得るに至りました。
そして、残りの引出しについては、多少の金額を支払うことで早期決着させることに注力し、結論としては当初の訴えで請求された金額の4分の1程度の金額を支払うことでの早期決着となりました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
不正出金の問題は、基本的には訴える側が立証責任を負うものであり、立証には困難がつきものです。
訴えられた側の場合は、逆にそのことをよく理解し、安易に認めて言質を取られることがないように訴訟活動を行っていくことが肝要です。