相続問題解決事例

相続問題の解決事例

【遺産分割】父親の後妻との間で、早期に遺産分割協議を成立させることができた事例

依頼者:長男
相手方:後妻

事案内容(相談までの背景)
父親が亡くなり、前妻との間の長男と、後妻の2人が相続人となりました。
 
後妻は、一切遺産に関する資料を開示することなく、全財産を後妻が相続するとの内容で、銀行や証券会社の相続手続書類に署名押印するように、長男に対し書面で請求してきました。
 
長男は、このまま署名押印してもよいのか不安になったといわれ、ご相談にみえました。

 

解決内容
後妻に対し、財産開示を求める書面を送付しましたが、全く内容が開示されませんでした。そこで、直接銀行や証券会社に対し財産開示を依頼して資料を取寄せました。
 
調査した財産内容をふまえ、後妻に対し、再度連絡したところ具体的な回答があり、その後交渉して、2分の1ずつ取得するという内容で遺産分割協議を成立させることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
相続人のうちの1人が、遺産の内容を明らかにしないままに、遺産分割協議書や、銀行などの相続手続書類に署名押印させようとすることがよくあります。
 
きちんと自分の相続分を取得したい場合には、絶対に安易に署名押印してはいけません。
 
強硬的な相続人がいる場合、弁護士が開示請求や調査を行なうことが非常に有効となります。

【遺産分割】夫の前妻との間の子どもとの間で早期に遺産分割協議を成立させることができた事例

依頼者:妻
相手方:前妻との間の子ども

事案内容(相談までの背景)
夫が亡くなり、相続人は、妻と一人息子、そして20年前に離婚した前妻との間の子ども(A夫)の3人の事案でした。夫は、医師をしていたため、A夫は、妻に対し、多額の遺産があるはずだと主張しました。しかし、実際には、元々経営が厳しかったところ、さらに10年近く前から病気で入退院を繰り返し、遺産はほとんどありませんでした。
 
妻は、支給された保険金全額をA夫に支払うことを提案しましたが、A夫からは返事がなく、亡くなってから1年ほど経ったころ、A夫の代理人弁護士から、財産開示を求める書面が届いたため、当事務所に相談にみえました。

 

解決内容
A夫の代理人弁護士に対し、財産内容を開示しました。
また、妻は、夫の死後、夫の借金や、未払となっていた様々な費用を支払っていたため、妻が支払った夫の債務内容も整理して主張しました。
 
そのほかに、葬儀関係費用もすべて妻が負担していたため、この分も差し引くべきとの主張を行いました。
 
A夫も弁護士を依頼していたため、弁護士同士で話し合いを進めることができ、当方の主張の根拠を相手方弁護士にもきちんと理解していただくことができました。
 
結局、A夫も当方の主張にしたがって譲歩し、調停手続まで至ることなく、遺産分割協議書を作成して解決することができました。
 

bengosi解決のポイント(所感)
相手方が弁護士を依頼している場合、客観的資料をつけて、詳細に主張すれば、主張の合理性について弁護士が判断しやすくなります。
 
もちろん弁護士が理解したからといって、相手方本人が必ずしも納得するとはかぎりませんが、うまく協議がまとまる可能性は高くなります。
 
今回は、客観的資料に基づき、整理して詳細な主張をしたことが、円満解決につながりました。
ただし、前妻との間の子が相続人になる場合には相続時に揉めることが想定されるので、遺言を作成しておいていただきたかったなと感じました。

【遺言・遺産分割】遺言で帰属が決まらなかった遺産について、早期に遺産分割協議を成立させることができた事例

依頼者:孫
相手方:叔父(父の弟)

事案内容(相談までの背景)
依頼者は、被相続人(祖父)の孫です。遺言により、遺産の一部(家)を依頼者の父が相続することになっていました。しかし、父親は、遺言作成後に亡くなっていました。
他の相続人は叔父(父の弟)でした。依頼者は、叔父と話し合いが進まないということで、相談に来られました。

 

問題点
家は、遺言で、父親が相続することになっており、いずれ依頼者が相続するはずでした。
しかし、祖父より先に父親が亡くなってしまいました。
すると、遺言のうち「家は父親が相続する」という部分は無効になります。
つまり、家は、相続人全員で遺産分割協議をしないといけなくなるのです。

他方で、家には依頼者の母親が住んでいたため、依頼者が取得する必要がありました。
 

解決内容
叔父との交渉の末、家の評価額を下げてもらったうえで、その半分の金額を支払うことで、遺産分割協議を成立させることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
もし、遺言に、「父親が祖父より先に死亡した場合には、依頼者に相続させる」という条項が入っていれば、叔父と協議をせずとも、依頼者が家を相続することができます。叔父は生前贈与を受けており、遺留分を侵害することはなかったからです。
 
もし、遺言作成段階から関与していれば、紛争になることが防げる事案でした。
 
遺言を作成するときは、必ず相談していただきたいと強く思った事件でした。

【遺留分】多額の生前贈与の主張をし、遺留分額を増額した和解を成立させることができた事例

依頼者:子(50代)
相手方:第三者

事案内容(相談までの背景)
遺言により、ある慈善団体に全財産を寄付することになっていました。
しかしながら、慈善団体は、被相続人の生前から、多額の寄付を受けていたことが判明しました。

 

解決内容
遺留分減殺請求の内容証明郵便を送りましたが、相手方は低い額での解決の申出しかありませんでした。
そこで訴訟を提起し、生前の寄付を含めて遺留分を主張・立証しました。
最終的に、遺産を基準にした遺留分よりは増額した和解を成立させることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
遺留分は遺産に加えて、生前贈与も含めて計算されます。しかし、今回の遺産は不動産でした。すると、遺産は第三者と共有となってしまいます。共有になっても最終的な解決にはならず、更に紛争が長引くことも予想されました。
 

しかし、依頼者は金銭的な解決を望んだので、今回の訴訟の中で和解することにしました。
生前の寄付を一部譲歩しましたが、遺産を基準にすれば遺留分を増額することができ、依頼者にもご満足いただけました。

【遺留分】遺留分減殺請求されましたが、相手方の主張を排斥し、当方主張の金額の支払いで合意できた事例

依頼者:長男(50代)
相手方:次男(50代)

事案内容(相談までの背景)
母親が亡くなり、父親は既に他界していたため、2人の子ども(長男、次男)が相続人となりました。母親は、全ての遺産を長男に渡すという公正証書遺言を作成していたため、次男は、長男に対し、遺留分減殺請求を行いました。長男は、次男に対し、資料を示して遺産内容を説明しましたが、次男は少なすぎると言って全く納得しませんでした。そのため、長男が、次男への対応を依頼したいといって、ご相談にみえました。

 

解決内容
次男に対し、再度弁護士から、遺産目録と遺産内容に関する資料を送付したところ、次男からは、
①不動産の評価が安すぎる、
②遺産の預貯金から過去10年間に引き出された一定の金額以上のお金については、すべて遺産として計上すべきである、
などの主張がなされ、当方主張の10倍近い金額の支払いを請求されました。
 
そこで、当方からは、不動産の評価については、不動産業者の査定書を提出し、当方が主張する価格の正当性を説明しました。また、引出金については、被相続人である母親自身が管理していたものであり、単に引出しがあったということのみでは、遺産として計上することはできないことなどを説明しました。
最終的には、次男も当方の説明に納得し、当方主張の金額のみの支払いで合意しました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
当事者間でやりとりを繰り返していても、お互いに不信感などの感情が先行し、なかなかうまくまとまらないことが多いです。
弁護士という第三者を入れることで、冷静な話し合いができるようになり、協議が進むようになります。
また主張については、査定書などの客観的な資料を添付してわかりやすく説明することで、理解が得られやすくなるという側面もあります。

【その他訴訟】遺産分割調停で協議できなかったマンションの賃料を、その後訴訟で取り戻した事例

依頼者:次女(40代)
相手方:長女(40代)

事案内容(相談までの背景)
父親が亡くなり、子ども2人(長女、次女)が相続人となりました。
遺産分割について、話し合いができなかったため、次女が調停を起こし、遺産分割調停が成立したのですが、調停の中では、長女が受領していた遺産のマンションの賃料の分配につき合意できませんでした。
そのため、次女は、調停成立後に、マンションの賃料の支払いを求める訴訟を起こしたいということで、ご相談にみえました。

 

解決内容
長女に対し、長女がこれまで受領したマンションの賃料のうち、2分の1の支払いを求める訴訟を提起しました。
訴訟では、長女も弁護士を委任し、固定資産税などのマンション管理費用がかかったことを主張しました。
 
結局、合理的といえる管理費用のみを差し引き、2分の1の金額を一括で支払ってもらう形で和解が成立しました。
 

bengosi解決のポイント(所感)
遺産分割調停が成立するまでの間の賃料は、各相続人が法定相続分にしたがって取得すると考えられています。
賃料の問題も、調停で遺産分割と一括解決することができればよいのですが、今回の場合、調停では長女が頑なに賃貸借関係の資料開示を拒否していたとのことであったため、別途訴訟を提起せざるを得ませんでした。
 
訴訟提起したことにより、長女からも資料の開示を得ることができ、和解により迅速に解決することができました。

【遺産分割】三すくみの状態で、揉めてしまうと紛争が長期化することが予想されましたが、短期間で遺産分割協議を成立させることができた事例

依頼者:子(60代)
相手方:甥、姪

事案内容(相談までの背景)
遺言により、全遺産を依頼者が相続することになっていました。他の相続員は弟と妹でした。弟は、不動産の生前贈与を受けていました。
遺産の中には、妹夫婦が住んでいる自宅がありました。妹夫婦の自宅は都心にあり、非常に高額なため、妹の遺留分より高額でした。弟の不動産は郊外にあり、低い金額の評価にしかならないと予想され、遺留分を請求されると、依頼者は支払う必要がありました。

 

解決内容
妹が自宅を取得し、弟は何も相続しないという遺産分割協議を成立させることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
法律を厳格にあてはめると、
1 依頼者は妹に対し、妹の居宅を請求する。
2 依頼者は弟からは、遺留分(と生前贈与された不動産との差額)を請求されてしまう。
という三つどもえの関係でした。
 
妹が弟に働きかけて依頼者に遺留分を請求せず解決するよう話を付けることを条件に、妹が自宅を取得することを了解するという前提で話合いを進め、そのとおり解決することができました。
 
もし、弟が遺留分にこだわり、当方が妹の居宅を取得することに拘っていたら、解決に何年もかかった可能性があります。
 
当初から、現実的な解決の道筋を示し、話し合いを持ちかけたことで、争いが泥沼化せず、三者にとって納得のいく結果を得ることができ、依頼者も満足していただけました。

【遺留分】被相続人の後妻に支払われた高額な保険金の一部を遺産に加算して、遺留分を算定することができた事例

依頼者:被相続人と前妻との間の子ども(30代)
相手方:被相続人の後妻(60代)

事案内容(相談までの背景)
父親が亡くなり、父親の前妻との間の息子と、後妻とが相続人となりました。父親は、全財産を後妻に相続させるとの公正証書遺言を作成していたため、遺留分を請求したいとして息子さんから依頼を受けました。

 

解決内容
遺留分減殺請求の調停を申立てたところ、後妻からは財産の開示がありましたが、父親にはかなりの収入があったにもかかわらず、あまり財産がありませんでした。
銀行口座の履歴などを調査したところ、財産の大半が、後妻と住んでいたマンションのローンと、高額な保険金が支払われる保険の保険料に費消されていたことがわかりました。
 
これらの調査結果に基づき、後妻に支払われた多額の保険金も遺産に含めて算定すべきだと主張し、結局多額の保険金の半分ほどを含めて遺留分侵害額を計算し、調停成立させることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
受取人が後妻と指定されていた生命保険金は、遺産には含まれないのが原則となります。
しかし、調停は話し合いですので、相手方との交渉次第では、遺産に含むものとして算定することができることもあります。
今回は、被相続人の銀行口座の履歴などを調査し、色々な交渉材料を揃えた上で、うまく交渉を進めることができました。

【遺産分割】被相続人の生前財産を管理していた親族の支出に不適切な支出があったため、この分を相続財産に加算して、相続分を増額できた事例

依頼者:被相続人の兄弟の子供(40代)
相手方:被相続人の財産を管理していた相続人(60代)

事案内容(相談までの背景)
結婚したことが無く、配偶者や子供のいないおばあさんが亡くなりました。
おばあさんのために、おばあさんの兄の子供が財産管理をしていました(おばあさんの兄は既に他界。)。
遺産分割を行うことになったのですが、この兄の子供が不明朗な資金支出をしていたため、遺産分割においてはこのことを考慮する必要がありました。

 

解決内容
銀行預金の履歴を取り寄せ、また、相手方から各払い戻し金の使い道について説明をさせ、説明のつかない金銭分については、法定相続分に応じて遺産分割金を上乗せする交渉を行い、増額に成功することができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
財産管理をしていた相続人がいるとき、その不正を立証して遺産分割金を増額することは実は大変なことです。
 
この事案では預金履歴を丹念に調査し、不当な支出が無いか、相手方の説明する支出と矛盾しないかを地道に調べたことが交渉の成功につながったのだと思います。

【その他訴訟】成年後見を申立てて財産確保ができた事例

依頼者:被後見人の長女(60代)

事案内容(相談までの背景)
父親は80代後半であり、認知症が発症しました。
父親の認知症はどんどん悪化し、ついには長女が自分を陥れようとしていると思い込み、長女を自宅にも入れないようになってしまいました。
 
他方で、最近になって、知らない業者が父親に宝石を売ってくれ、と頻繁に連絡が入るようになり、どうも大事な貴金属類を次々に売却したり、持っていた株式を全て売却しようとしたり、明らかに不合理な行動をとるようになりました。
財産管理の方法について相談がありました。

 

解決内容
かなり認知症が進んでいることが分かりましたので、早急に、お孫さんに動いてもらい、本人に病院の診断を受けてもらい、ある程度の財産調査を行って、すみやかに後見の申立てを行いました。
本人の協力があまり得られない中で上手に本人を誘導し、必要書類を取得し、後見の申立てができたことは非常に幸運でした。
早期に申立てができたため、財産の保全を行うことができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
財産の散逸が生じているのであれば一刻も早く後見の申立てを行うべきです。
そうでないと、後で大きな後悔をすることになります。
 
もちろん、後見に適しない事案もありますので、一度ご相談頂ければ幸いです。

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