相続問題解決事例

相続問題の解決事例

【遺産分割】遺産分割の審判内容が不服であったため、抗告した結果、高等裁判所で大きく内容が変更された事例

依頼者:被相続人の長女(50代)
相手方:被相続人の長男(60代)

事案内容(相談までの背景)
父親が亡くなり、4人の子どもたち(長男、長女、次女、三女)が相続人となりました。
遺産は、父親と長男とが同居していた自宅不動産と、山奥の田畑、預貯金と株式でした。
長男は、価値のある自宅不動産と預貯金、株式は全部自分が相続するといって譲らなかったため、長女が調停を申立てました。
しかし長男の態度は相変わらず強硬だったため、長女が弁護士を依頼したいと言ってご相談にみえました。

 

解決内容
調停の途中で、不動産鑑定を行い、そのために遺産の預貯金を使ってしまっていたため、受任した段階では、預貯金はわずかしか残っていませんでした。
また、長男の態度は調停でも極めて強硬だったため、結局遺産分割の審判がなされることとなったのですが、出された審判は、価値ある不動産や、わずかに残った預貯金、株式の大半は長男が取得するという、ほとんど長男の希望に沿った内容でした。
 
当方が直ちに即時抗告したところ、高等裁判所では、原審の判断が不当であることが認められ、当方の希望を考慮して、大きく内容が変更されました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
統計的には、原審の結論が、抗告審で変更される可能性はとても低いです。
しかし、特に家事事件の場合には、裁判官により大きく見方が異なる場合があるので、諦めずに、わかりやすく丁寧に、的確な主張を行うことが重要です。
 
今回の場合も、不当な審判が出された時点であきらめず、抗告まで行い、繰り返し丁寧な主張を行ったことによって、高裁の裁判官には、きちんと当方の主張を斟酌していただくことができました。

【その他訴訟】遺産の中にあった賃貸不動産の賃料を、勝手に受領していた相続人から取り戻した事例

依頼者:被相続人の次女と三女(60代)
相手方:被相続人の長女(70代)

事案内容(相談までの背景)
父親が亡くなり、子供3人(長女、次女、三女)が相続人となりましたが、長女が父親の遺産である賃貸物件から得られる賃料を勝手に受領していました。 遺産分割調停では、対立が激しく、賃料を含めた解決ができない状況だったため、次女と三女は、長女が受領した賃料を取り戻したいと言って、ご相談にみえました。

 

解決内容
次女と三女から委任をうけ、長女に対し、勝手に受領した賃料の返還を求める不当利得返還請求訴訟を提起しました。 
長女は、次女と三女のために自分が色々な費用を支払ってきた、などと主張しましたが、結局、固定資産税だけを賃料から差し引いて計算することで和解が成立しました。 

 

bengosi解決のポイント(所感)
賃貸不動産から発生する賃料債権は、遺産とは別個の財産であり、各相続人が、それぞれの相続分に応じて、分割単独債権として確定的に取得するものとされています。
つまり、今回の場合、本来は、3人が相続分に応じて3分の1ずつ取得すべきものとなります。
今回のように、相続人のうちの一人が勝手に賃料を受領している場合、不当利得返還請求訴訟などにより取り戻すことが可能ですので、諦めずにご相談ください。
 
なお、そもそも1人が勝手に受領しないように、被相続人が亡くなったら、賃借人にきちんと通知しておかれた方がよいでしょう。

【遺産分割】遺産の内容が不明だったため、遺産を調査し、多額の遺産を発見して遺産分割した事例

依頼者:被相続人の兄(80代)
相手方:被相続人の弟(70代)

事案内容(相談までの背景)
被相続人に子供がなく、兄弟が相続人となりました。被相続人は長年1人暮らしをしており、かつ亡くなってから5年以上、遺産分割をしないまま放置されていたので、遺産の内容がほとんどわからない状況でした。

 

解決内容
郵便物などから、被相続人が口座を開設していそうな銀行を探して照会をかけ、少しずつ口座を探しました。また、口座の取引履歴から、株式などのその他の財産も見つけることができました。また、生命保険協会などに弁護士会を通じた照会を行い、生命保険も複数受領することができました。
 
なお、依頼者は高齢で入院していたため、病院に弁護士が行って打ち合わせを行い、また銀行などへの相続書類の提出手続なども、すべて弁護士が行いました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
被相続人と、相続人との交流があまりない場合、遺産が正確に把握できないことがありますが、弁護士による金融機関などへの照会、弁護士会を通じた照会手続などにより、遺産の内容を調べることができます。
また、高齢などのご事情がある場合には、弁護士が出張してご相談を受けることもできますし、銀行などへも弁護士が相続人に代わって行き、必要な手続を行うことができますので、諦めずにご相談いただくことが必要です。

【遺産分割】遺産分割にあたり、高額な葬儀費用を負担させられることなく解決できた事例

依頼者:被相続人の二男(50代)
相手方:被相続人の長男(60代)

事案内容(相談までの背景)
父親が亡くなり、長男、二男、三男が相続人となりました。
長男は、父親の近所に住んでおり、家業を継いでいたため、喪主として高額な費用を掛けて葬儀を行いました。
遺産分割の話し合いの中で、長男は葬儀費用のうち200万円ずつ負担するよう求めてきました。

 

問題点
葬儀費用は原則として喪主が負担すべきものですが、実際はかつては葬儀費用を遺産から支出することもなされていました。
遺産分割調停でも、当事者が合意すれば遺産から支出することも可能です。
また、葬儀をどのようにやるかについて話し合いで決めたような場合には、遺産から支出することも妥当な解決と思われます。

 

解決内容
調停となりましたが、葬儀費用については長男が負担することで解決することができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
長男から葬儀の内容について相談もなかったということを強調し、家業を継いだ長男としては、豪華な葬儀をする必要があったと思われますが、他の兄弟としてはとうてい納得が得られないと主張し、調停委員の理解を得ました。
 
最終的には長男も納得し、解決しました。

【遺産分割、特別受益】依頼者の特別受益の評価額を減らして、有利な解決をすることができた事例

依頼者:被相続人の長男(60代)
相手方:被相続人の長女(50代)

事案内容(相談までの背景)
父親が亡くなり、長男と長女が相続人となりました。
この一家は農家であり、他に別の事業も営んでおり、父親が高齢になった後、長男は生前に農地の贈与を受けました。
 
長女は、長男がもらった農地は特別受益であると主張して、遺産として残っている財産は大部分が自分のものであると主張してきました。

 

問題点
長男がもらった土地の評価が問題になりました。また、遺産の中にも農地があり、これを誰が相続するかが問題になりました。
 

解決内容
当方の特別受益の評価額を大幅に減らすことができました。
そのうえで、遺産分割においても農地のすべてを取得できたのみならず、他の財産についても当初の相手方の主張より大幅に多く取得できました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
農地の実勢価格は長女が主張する価格より大幅に低いものでした。
農地は、そもそも農家にしかうることができないため、長女が相続しても、転売できるあてはありませんでした。
そのため、遺産として残っている農地について、長女は相続する気がないだけでなく、かえってお荷物でした。
 
そこで、不動産の評価額について立証する一方、長男は農家を継いでおり事業債務や農地に伴う負担を引き継いでいることを主張しました。
また、遺産として残っている農地を、長女も相続して、他の種類の遺産を当方が相続すると主張しました。
困った長女は、農地以外の種類の遺産について自分の主張を譲歩せざるをえなくなりました。

 

【遺産分割】相手方が不正に取得した遺産の一部を取り戻した事例

依頼者:被相続人の長男と長女
相手方:被相続人の三男

事案内容(相談までの背景)
三男は、被相続人から被相続人名義の通帳やキャッシュカードを預かっていましたが、被相続人に無断で払い戻したようでした。
さらに、三男が被相続人の死後、被相続人の通帳から現金を払い戻したようでした。
そのため、被相続人の財産が殆どゼロになってしまっていました。
 
被相続人の長男と長女が当事務所に来られ、上記のような払戻金について三男から取り戻して欲しいという依頼がありました。

 

問題点
当初、被相続人の口座からの払戻金がどこに行ってしまったのか、分かりませんでした。おそらく三男がとっていったと思われましたが、確たる証拠がありませんでした。
したがって、三男に返還を請求できるかどうか分かりませんでした。
 

解決内容
三男は、当初、被相続人からの払戻金について知らないとか、もらったものだとか、説明していましたが、当事務所で弁護士照会した結果、三男の筆跡で被相続人名義の通帳から送金をしたり払戻をしたりしていた事実が分かりました。
また、死後の払戻金についても葬儀費用等に宛てられることなく、自分の預金口座に送金されていることも分かりました。
 
そのため、不法行為乃至不当利得で払戻金を返還するよう内容証明郵便で求めたところ、三男にも弁護士がつき、協議して、一部返還を受けられることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
確たる証拠が突きつけられるまで、嘘を言い続ける相続人がいます。
その場合は、速やかに弁護士照会等で証拠を収集して返金を迫る必要があります。

 
このケースは早期に調査が完了したのでうまくいった事案でした。
 

【遺言、遺産分割、寄与分】相手方が取り込んだ遺産の大半を取り戻した事例

依頼者:被相続人の孫(30代)で、代襲相続人
相手方:被相続人の長女(60代)

事案内容(相談までの背景)
依頼者は被相続人の長男の子供ですが、長男は既に死亡していたため、代襲相続しました。公正証書遺言では、全財産を依頼者に相続させる、と書かれていました。相手方は叔母さんなので全面的に信用して、遺産の土地建物処分、預貯金の解約払戻を任せました。ところが、全くその後の経過を報告せず、1000万円だけ渡してくれましたが、それ以外は遺産が500万円位しかなく、それは自分の遺留分だと主張しました。

 

問題点
相手方の弁護士が代理人として付いた結果、遺産の全容が分かり、2000万円が全遺産だと判明しました。ところが、被相続人の自筆での遺言書があり、それには全遺産を相手方に相続させる、と書かれていると言ってきました。また、実印を預かる段階で、遺言書によらずに、半分ずつ分けることで合意した、従って1000万円だけ渡せば、それ以外に支払う必要はない、と反論してきたのです。
 

解決内容
相手方は、家庭裁判所へ調停申立をしました。私の方では、あくまでも500万円を支払うよう求めましたが、結果としては、450万円支払うことで合意が成立しました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
自筆証書遺言については、作成年月日も書かれておらず、捺印もなかったことから、無効であることを主張しました。勿論、筆跡も疑わしいところがありました。また、遺産分割協議書については、依頼者の実印は押されているものの、署名はないし、このような不利な内容の書類に同意するはずがない、と反論しました。また、最終的には刑事告訴と民事訴訟提起する強く主張することで、相手方は譲歩しました。

【遺産分割】相続分譲渡を拒否された相続人に対する一定の代償金の支払いを条件として、すべての遺産を取得するという審判を得ることができた事例

依頼者:被相続人の弟(60代)
相手方:被相続人の兄弟姉妹30人以上

事案内容(相談までの背景)
子どもがなく、妻には先立たれていた男性が亡くなったため、兄弟姉妹が相続人となった事案です。
男性の父親が再婚であったため、相続人となる男性の兄弟姉妹は、男性の父親の前妻との間の子(お父さんだけ同じ兄弟姉妹。半血兄弟といいます。)と、その後再婚した妻との間の子(両親とも同じ兄弟姉妹)の合計15人でした。
さらに、相続人である兄弟姉妹のうち多くが亡くなっていたため、兄弟姉妹の子どもたち(男性の甥姪)も相続人となり、結局、相続人は、合計40名になりました。相続人が多数である上、交流はほとんどなかったため、各相続人の生死さえよくわらかない状態でした。

 

解決内容
まず戸籍をたどって相続人を確定した後、各相続人に連絡をとり、相続分の兄への譲渡を依頼しました。
弁護士が交渉した結果、ほとんどの相続人から相続分の譲渡を受けることができ、兄の相続分は大幅に増加しました。
また、中には、認知症を患い、判断能力を欠く状況となっている相続人もいたため、後見人の選任申立も行いました。このような手続を経た上で、遺産分割の審判を申し立てたところ、相続分譲渡を拒否された相続人に対する一定の代償金の支払いを条件として、すべての遺産を兄が取得するという審判を得ることができ、無事相続手続は完了しました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
かつては兄弟姉妹が多かったため、相続人が多数にのぼるケースがあります。
相続発生から時間が経過してしまうと、相続人の死亡により、さらに相続人が増加していき、遺産分割手続を行うことが難しくなっていきます。子や孫に面倒事を引き継がせないためにも、早いうちに対応することが必要です。
 
また、顔も知らない相続人に対し、相続分譲渡の依頼をしても、相手からは不信に思われてしまいますが、今回は弁護士が交渉したことによって、ほとんどの相続人から相続分譲渡を受けることができました。
さらに、相続人が判断能力を欠く場合には、遺産分割手続にあたり、後見人選任等の手続も必要となりますが、今回はこの手続も当事務所にて行い、スムーズに進めることができました。

【その他訴訟】相続関係書類を偽造された件で、勝訴的な和解をすることができた事例

依頼者:被相続人の二男(60代)
相手方:被相続人の長男の子(30代)

事案内容(相談までの背景)
父親が亡くなり、長男と二男が相続人となりました。
長男は、相続手続に必要な書類について、二男の署名押印を偽造して預金を払戻してしまいました。
二男は、遺産分割の話を長男がしてこないので、不審に思っていましたが、そのうち長男は死亡してしまいました。
二男が銀行に尋ねたところ、預金が払戻されていることがわかりました。

 

解決内容
弁護士から相手方に手紙を出しましたが、相手方は「二男の了解を得て払戻した」として話合いになりませんでした。
そこで、訴訟を提起し、もともとあった預金の1/2を請求しました。
判決直前まで行きましたが、裁判官の心証はこちらに有利だったため、当方に有利な和解をすることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
相続手続に必要な書類には二男の実印が押印してあったのですが、その様式や作成経緯などが不自然であったことをかなりの程度立証できたため、偽造の疑いがかなり強いということを裁判所に分かってもらえました。
偽造したであろう長男が亡くなったため、真実を知る者が相手側にいません。相手方は具体的な反論はできませんでしたが、ボロを出すこともない状況でした。
 
この件は、合意による払戻しとしては異常な手続を長男がとっていたことの証拠を集められたので、当方に有利な解決ができました。

【特別縁故者の申立】叔父との交流が密接であったことから、遺産の全部を特別縁故者として取得できた事例

依頼者:甥(40代)
相手方:叔父

事案内容(相談までの背景)
叔父の生前より、長期間にわたり、親しい付き合いがあり、叔父の仕事を手伝ったり、叔父宅にしばしば子供を連れて遊びに行き、自宅の掃除、庭の草取りを手伝った。さらに叔父の妻が死亡したおりには、通夜葬儀・法要の手配、お墓の建立などの世話をしました。叔父が病気で倒れた後も、毎週、病院を訪れ、衣類の洗濯、生活全般の援助をしました。

 

問題点
特別縁故の立証と、遺産の全部を分与するだけの深い縁故があったことの主張と立証し、裁判所から全部の分与をしてもらえました。
 

解決内容
裁判所から全部の分与をしてもらえました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
事例によっては、1割しか分与されないケースもあります。特別縁故の立証と、遺産の全部を分与するだけの深い縁故があったかを、具体的事情を詳細に聞き取り、かつこれを裏付ける客観的資料を集め、関係者の証明書をできるだけたくさん収集する点に努めました。また相続財産管理人にも、遺産の管理処分に積極的に協力すると共に、特別縁故の内容を理解してもらえるよう訴えました。

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