私は長男ですが,親とは同居せず,親が所有していた土地の上に自宅を建てて,そこに住んできました。
両親が亡くなり,遺産分割の話合いをしていますが,
弟妹から,無償で親の土地を借りていたのは特別受益だと主張されています。
「地代5万円として,20年分1200万円は得をしているから,その分は既に遺産からもらっているのと同じでから,その分私の相続する分は減る。」というのです。

たしかに,親に地代は支払っていません。
このような場合でも,特別受益になってしまうのでしょうか。

答え
特別受益を算定しないケースが多いと思われます。

 

同居の場合と異なり,土地を自由に使える状態だから,賃料分を長男が得をしている(受益がある)と言えそうな気もします。

 

しかし,親子間では無償で貸すことはよくあることですので,賃借権(有償で使用できる権利)ではなく,使用借権(無償で使える権利)があると考えるのが普通です。
したがって,賃料分の特別受益が認められる可能性はかなり低いと考えられます。

 

実際は,この土地をあなたが取得して,使用借権は評価しないことが多いようです。

 

もし,この土地をあなた以外の人が取得することになった場合には,別途考えなければなりませんが,そのようなケースは現実にはあまりないと考えられます。