依頼者:男性(40代)
相手方:女性(40代)

事案内容(相談までの背景)
依頼者のお母様が亡くなり、遺産分割をしたいということでご相談にみえました。お父様が亡くなったときには、自分の取り分はほぼなく、ほとんどお母様と相手方である姉に渡してしまったが、今回は、きちんと法律上の請求をしたいとのことでした。

相手方と話したところ、遺産はお母様の面倒をみた自分が全部取得するという主張だったということで、弁護士から遺産分割の申し出をすることにしました。

 
問題点
お母様は相手方と同居していましたが、同居期間中、多額の引出金がありました。お母様は賃貸不動産を所有していましたが、賃貸不動産の賃料収入についても、かなり引出されている状況でした。お母様に認知症など判断能力の低下は見られませんでしたが、体が悪く一人で外出はできなかったので、引出は相手方により行われていました。

相手方に一部金員が贈与されていると考えられましたが、相手方は、贈与ではなくお世話代だと主張し、平行線となりました。

 
解決内容
相手方との交渉は進まなかったため、やむなく調停を申し立てることにしました。調停では、裁判所に対して、引出金の詳細を説明し、明らかにお世話代の範囲を超えていることなどを主張しました。

最終的には裁判所から調停条項案が出されて調停により解決することができましたが、調停条項案の中で、引出金の一部について、相手方への贈与として算定していただけました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
被相続人と同居してお世話をしていた相続人と、別居していた相続人との間で、被相続人名義の預金口座からの引出金について問題となることは非常に多いです。そして引出金の問題については主張が平行線となりやすいですが、調停により裁判所の意見を聞いて解決できることもままあります。
 
なお、賃貸不動産についての評価も大きく対立していましたが、こちらも最終的には不動産鑑定により解決することができました。事案の内容に応じて、早期に調停を申し立てるかどうか適切に判断する必要があります。