Q&A よくある質問

相続に関するQ&A

残した財産はどうなる? A.財産の種類により違います

私は中小企業のオーナー社長です。
離婚した元妻との間に息子と娘がおります。息子は会社の後継ぎにと考えています。
現在,内縁の妻と同居しています(籍は入れておりません)。
私が遺言を残さずに死んだ後,遺産はどのように分けられるのでしょうか。
ちなみに,私名義の財産は,自宅のマンション,会社に賃貸している土地,預貯金のほか,投資信託,上場株式などがあります。また,借金が1000万円ほどあります。
また,生命保険に加入しており,受取人は娘にしてあります。

答え
まず,相続人としては,息子と娘だけです。元妻も,現在の内縁の妻も,相続人になりません。
財産の分け方は,財産の種類によって変わってきます。通常は以下のように考えられています。

 

そもそも分けなくて良いもの
生命保険金・・・全て娘のものになる(遺産ではない)。
死亡退職金・・・退職金規程により決まる(内縁の妻になることも多い)。

 

話し合いをしなくても,当然に相続分に応じて分割されるもの
債務  借金は,500万円ずつ息子と娘が払うことになります。
預貯金(旧郵便局の定額貯金を除く)
会社に貸している土地の賃料債権
株式の配当請求権
投資信託のうちMMFやMRF
もっとも,これらも息子と娘で合意すれば,わざわざ半分に分けなくてもよいです。たとえば,マンションを息子が,預貯金を娘がもらうという遺産分割協議をすることができます。

 

これら以外の財産
これら以外のものは,話し合い(遺産分割協議)で分け方を決めることになります。
会社を息子に譲りたい,マンションに内縁の妻を住まわせたい,預貯金を娘に半分より多くあげたい,などの事情がある場合には,遺言を残しておく必要があります。

遺言(5) 遺言の書き方

遺言の書き方が分かりません。 普通の紙に書いて良いのですか? パソコンで作成して印刷した遺言も有効ですか? 封筒に入れて,封をしないとだめですか?

答え
一番簡単な方法は,
全文を自筆で書く遺言です。
日付,氏名も自筆で書き,押印すれば有効です。

 

封をする必要はありません。
ただし,死後に遺言を発見してもらえないければ意味がありません。
信用できる人に預けるか,複数作成して相続人に渡しておく必要があるでしょう。
印刷部分(自筆でない部分)は遺言になりません。
たとえば日付や氏名が活字だと,遺言として無効になりますので,注意してください。

 

逆に,汚い字でも,判読ができれば有効です。

遺言(4) 不動産の地番が間違っている場合

父が「私に不動産を相続させる」という遺言を残してくれました。 しかし,不動産の地番が間違っていたため,登記を私名義にできない,と司法書士から言われました。 このような場合はどうしたらよいのでしょうか。

答え
内容の正しい遺言があれば,他の相続人の承諾(実印)がなくても,登記を移すことが可能です。
本件でも,地番の誤りが明らかに誤記であり,遺言を残した方の意思が一義的に決まるのであれば,遺言としては有効となると思われます。
法務局(登記を扱う役所)は,形式面の審査しかしません。ですので,地番が間違っていると,登記の申請を受理してくれません。
遺言書の内容,遺産の内容,遺言者の生前の言動などによりますが,裁判をすれば有効な遺言として登記ができる可能性もあります。

遺言(3) 遺言どおりに分けたくない場合

父が亡くなり,遺言が発見されましたが, 晩年面倒を見てくれた長兄の嫁に全財産を譲ると書いてありました。 しかし,相続人全員が反対しており,長兄の嫁も,全財産をもらう必要はない,と言っています。 このような場合はどうしたらよいのでしょうか。

答え
遺言がある場合には,遺言に書いてある通りになるのが原則です。
もっとも,受遺者(お嫁さん)と相続人全員で合意できれば,遺言とは違う分け方をすることも可能です。
お嫁さんと相続人全員で合意できなければ,遺言の通り,全財産がお嫁さんに行くことになります。
ですので,お嫁さんの立場は非常に強いです。
相続人全員が反対していると言っても,お嫁さんの意向を優先しないと,話はまとまらない可能性が高いと思います。

遺言(2) 債務を相続させないことは可能か?

子どもが二人います。 長男に事業を継がせ,長女には預金をあげる予定です。 債務は1/2ずつ相続されると聞きましたが,債務は長男に全部負わせ,長女には一切負わせたくありません。 何とかできませんか? どういう遺言をすればよいでしょうか?

答え
「遺贈する」という手法があります。
相続人に財産を残すには,「相続させる」と書くのが一般的です。その方がメリットがあるからです。
*遺言(1)参照

 

しかし,相続人に「遺贈する」と書くことも可能ですし,有効です。

 

そして,特定の遺産を「遺贈」された場合,遺産をもらいつつ,相続放棄をすることもできます。
相続放棄をすれば,長女は一切あなたの債務を支払う必要はありません。
ですので,「これこれの預金を長女に遺贈する」という遺言を残してあげればよいのです。

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