Q&A よくある質問

相続に関するQ&A

生前贈与の注意点(2)

親が,自宅をくれると言っていますが,口約束だけでも有効ですか?

答え
このように「無償(ただ)であげる」ことを贈与契約といいます。
贈与契約は,書面にしておくか,贈与を履行(りこう)してもらわないと,一方的に撤回されてしまいます。

 
自宅のような不動産は,引き渡しか,登記のいずれかがあれば「履行は終わった」とされますが,確実に自宅を取得したいのであれば,登記を移しておくことをお勧めします。

 
というのは,贈与が有効であっても,登記がないと,他人との関係で負けてしまうことがあるからです。

生前贈与の注意点

親が,自宅をくれると言っていますが,何か気をつける点はありますか。

答え
親から生前贈与を受ける場合には,相続や死因贈与による場合との損得を考える必要があります。

税金のことだけ考えれば,生前贈与だと高い贈与税が課されるのに対し,相続や死因贈与だと相続税がかかるだけなので,税金は安くなります。

ただし,相続,死因贈与の場合には,親の気が変わって,遺言や死因贈与契約を撤回されるおそれもあります。
親が自宅を処分してしまうことも考えられます。

 

ですので,生前贈与により,「今」自分の物にしておいた方が,自宅を確実に取得できるということになります。

税金が高額になるという点も,相続時精算課税制度を利用して,回避できる場合もあります。

相続人の1人が遺産を独り占めしようとしている?

叔父が亡くなりました。 叔父には妻子がいません。 叔父の遺産は,いとこ(Aさん)が管理していました。 いとこは叔父の遺産を独り占めしようとしているようです。 どうすればよいでしょうか。

答え
叔父さんの財産が把握できているのであれば,まず口座を停止する手続を取りましょう。

 

把握できていない場合,おじさんの財産がどれだけあるか調査する必要があります。
不動産であれば自治体,預貯金であれば金融機関,株式であれば証券会社に問い合わせをすることになります。
場合によっては取引履歴を取り寄せるなどして,Aさんがおかしな使い方をしていないか,調べることも必要になるかもしれません。

 

相手方との交渉が難しい場合には,早い段階で弁護士に依頼した方がよいでしょう。

賃料収入はどう分けるのか?

遺産のなかに賃貸ビルがあるのですが,父の死亡後,ビルの賃料は,私が受け取っていました。 その後1年が経ち,ビルは私が取得することになりました。 しかし,弟が,これまでのビルの賃料は相続人全員で分けるように言ってきました。 ビルをもらう以上,最初から賃料は私のものになるのではないでしょうか。

残念ながら,弟さんの言うとおりになります。
賃貸物件の賃料について,誰が取得するか合意ができればよいのですが,そうでない以上,相続人が,その相続分に応じて,取得することになります。(最判平成17年9月6日)

 

もっとも,あなたがビルを取得することが決まるまで,ビルの管理費用や固定資産税を支出していたのであれば,これらは賃料から差し引くことができます。

会社はどうなってしまうのか?

父は,株式会社を設立して株式を100%保有して,代表取締役をしておりましたが,先日亡くなりました。A社には他に取締役はいません。会社はどうなるのでしょうか。

答え
まず,株式は,当然に分割されませんので,遺産分割をする必要があります。株式が全部で2株,相続人が2人で1/2ずつの相続分,という場合でも,1人1株ずつ保有することにはなりません。
分割前の株式は,相続人全員の準共有の状態になります。すなわち,2人で,2株を共有するということになるのです。
遺産分割がなされた後は,あとは多数決で決めるという通常の状態に戻るだけですので,ここでは分割前はどうなるかについてお話しします。

 

この場合,株主としての権利の行使は,相続人全員で代表者1人を届け出て行うのが原則です(会社法106条本文)。
すると,相続人の1人でも反対すれば,権利の行使ができないことになりそうです。しかし,会社が同意した場合は,権利行使ができるのです(会社法106条但書)。というのも,最高裁の判例によれば,「共有者間において権利行使者を定めるときは、持分の価格に従いその過半数をもってこれを決することができる」(最高裁平成九年一月二八日)ことになっており,過半数で決めたのであれば,その権利行使に問題はないからです。とはいえ,会社が同意しても,その権利行使が過半数で決せられたものでなければ,共有者の一部による不当な議決権行使となり,株主総会の決議が取消されることはあります。

 

今回の場合は,けっきょく,どうなるのでしょうか。
相続人の1人でも反対した場合,会社(代表取締役)の側から同意してもらわなければなりませんが,代表取締役が亡くなっています。取締役が他にいれば,取締役会で新しい代表取締役を選べますが,取締役が他にいなかった場合には,新しい(代表)取締役を株主総会で選ぼうにも,相続人全員が賛成しなければ,決議ができません。
この場合には,仮取締役の選任を裁判所に請求するか(会社法第346条第2項)、仮代表取締役の選任を裁判所に請求(会社法第351条第2項)することになります。

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