相続問題解決事例

相続問題の解決事例

【遺言】改めて遺言書を作り直した事例

依頼者:女性(70代)
相手方:息子(40代)

事案内容(相談までの背景)
元々、夫婦で会社を経営していたが、引退後、息子に会社を譲り、それからは趣味や友人関係で楽しく過ごしていました。

ところが、最近、息子から遺言書の作成を迫られるようになり、不本意な遺言書を作成させられました。 そのため、新たに息子さんには秘密で遺言書を作成し直すことを考え、当事務所に相談に来られました。

 
問題点
息子さん以外に娘さん、お孫さんもいらっしゃったため、各人に配慮した遺言書を作る必要がありました。

難しいのは、不動産の価値や死亡時に残るであろう預貯金をある程度想定して配分を決める必要がある点でした。息子さん、娘さん、それからお孫さんにバランス良く、遺産を配分する案を、ご相談者様とじっくり協議しながら、作成することになりました。
 
解決内容
不動産を多数保有されていたため、これを相続人に配分し、また、それだと不公平になる点は預貯金で調整することとしました。
遺言執行者には、兄姉間で紛争にならないために、弁護士を立てることになりました。
相続人が先に死亡した場合の相続順位にも工夫を凝らしました。
 

bengosi解決のポイント(所感)
遺言書の改訂自体は簡単なのですが、遺言者の思いを形にする必要があり、今回は、協議を何回も重ねることが必要でした。協議を重ねた結果、当初とは違う内容となりましたが、より思いに適うものとなって、遺言者も満足されていました。

【遺留分】非上場会社の株式を相続税評価額で算定することにより、事件を早期に解決することができた事例

依頼者:男性(60代)
相手方:女性(70代)

事案内容(相談までの背景)
全ての遺産を依頼者に渡すという内容の遺言があり、姉の遺留分を侵害することは明らかなので、遺留分を姉に支払うことは仕方がないと考えている。もっとも、非上場株式があるところ、これをどのように評価して、遺留分について姉と話し合いを進めていったら良いか分からないので教えて欲しいということで相談に来られました。

 
問題点
非上場株式の時価の算定方法については、確立した基準というものはなく、純資産価額方式若しくは類似業種比準方式によって評価されることがあります。

上記の各方式について説明をすると、かなり長くなってしまうため、紙面の都合上、省略させて頂きますが、時価を正確に算定しようとすると多大な労力が掛かるため、早く評価額を決めて迅速に解決させることができないかが問題となりました。
 
解決内容
時価ではありませんが、株式の評価額を算定するにあたっては、相続税評価額が用いられることがあります。
そして、本件では、相手方の了承を得ることができたため、相続税評価額で非上場株式の評価額を算定することができました。

その他の遺産の評価額については、特に問題はなかったため、比較的早期に、遺留分に関する合意書を締結することにより、事件を解決させることができました。
 

bengosi解決のポイント(所感)
非上場株式の算定方法は、かなり難しく、正確に算定しようとすると、それだけでかなりの時間を費やすおそれがあります。
もっとも、本件のように、相続税評価額で算定することについて両当事者が合意している場合は、早期解決のため、相続税評価額で算定するのもありだと思います。

非上場株式の評価は難しいため、遺産の中に非上場株式がある場合は、評価の仕方について、一度専門家に相談されることをお勧めします。

【遺産分割】夫の兄弟と、早期に遺産分割協議をまとめ、遺産にあった不動産を売却できた事例

依頼者:女性(60代)
相手方:女性(60代)

事案内容(相談までの背景)
被相続人は会社経営をしている男性で、妻を残して急死されました。夫妻には子がなかったため、夫の兄弟と妻が相続人となりました。
現預金があまりなく、遺産は不動産ばかりでしたので、早期に不動産を処分し、兄弟達に代償金を支払って解決する必要がありました。

なお、被相続人の会社の株式について、夫が妻に生前贈与をしていたのですが、その株式の評価額をめぐって相続人間で対立がありました。

 
問題点
問題点としましては、千葉と名古屋に不動産が多数ありましたので、それぞれの評価額が問題となりました。
各相続人は、自分が取得する予定の不動産は低く、相手方が取得する予定の不動産は高く主張していたため、両者の開きはなかなか埋まりませんでした。

また、先ほど述べたように、妻は夫から会社の株式を生前贈与されていたため、その評価額が争われました。
当該会社は債務超過でしたので、資産価値はゼロだというのが当方の主張でした。これに対して、存続している以上、価値はゼロでは無いはず、というのが相手方の主張でした。
 
解決内容
結論としては、妻の相続分が4分の3であることから、多少妻側が譲歩しても、結論に影響がすくなかったため、妥協をしました。

上記のとおり、遺産の殆どが不動産であったため、妻側が不動産を取得する代償として多額の現金が必要となります。
そのため、早期に不動産を売却する必要があったため、売却したら、金●円を渡す、という約束をして、早期に遺産分割調停を成立させました。

その後、不動産は2か月程度で売却でき、代償金を用意することができました。
なお、債務超過の会社の株式については、ゼロ評価でまとまりました。
 

bengosi解決のポイント(所感)
不動産を早期に売却するためには、売却後の代金分配予定額を計算して、売却後数か月以内に支払うと約束をすれば、すっと解決することができる場合があります。
本件は、運良く、早期に遺産分割協議が成立し、不動産以外の点は妥協しあって相続人間で納得のいく解決ができたと思います。

【遺留分】不動産を時価ではなく、相続税評価額で算定し、遺留分侵害額をできる限り抑えることに成功した事例

依頼者:女性(40代)
相手方:女性(40代)

事案内容(相談までの背景)
被相続人は依頼者に全ての遺産を相続させる旨の遺言を遺していたところ、これに不満を抱いた依頼者の姉から、遺留分では納得できないので、もう少し自分の取り分を増やして欲しいという要求が依頼者にありました。
できる限り姉とは揉めたくないが、かといって遺留分以上の金額を姉に払いたくない。そこで、どのように対応したら良いか教えて欲しいということで、御相談に来られました。

 
問題点
遺言をみたところ、公正証書遺言になっており、また、当時の被相続人の認知能力に関しても、特に問題はありませんでしたので、遺言の効力については問題はありませんでした。
もっとも、姉は遺言以上の取り分を希望していたので、遺言通りでは納得しない可能性がありました。
また、被相続人は複数の不動産を所有していたところ、高額な不動産を幾つも所有していたため、これらの評価額をどうするかが問題になりました。
 
解決内容
遺言以上の取り分を姉は希望しておりましたが、被相続人の生前に多額の金銭援助を受けていたことが判明したため、かかる点を追及し、遺留分の範囲内で話をまとめることができました。
また、不動産の評価額については、時価ではなく、相続税評価額で話をまとめることができました。
 

bengosi解決のポイント(所感)
相手方の姉とは、書面のやり取りを行うことによって、最終的に解決まで至ることができました。書面のやり取りで解決まで至ったのは、できる限り丁寧に説明するように心掛けたからだと思います。

すなわち、何故遺留分の範囲内で解決させるべきなのかを順を追って丁寧に説明し、当方から提示した金額は決して相手方の姉にとっても不公平なものではないことを何度も根気よく説明したことが、相手方の姉の納得につながったと考えております。
兄弟間の相続トラブルは、感情の対立もあり、なかなか本人同士では解決が難しい場合が多いです。
当事務所は相続関係の事件を多数扱っておりますので、もしお困りでしたら、是非とも一度御相談に来て頂ければと存じます。

【遺産分割】死亡保険金を遺産に持ち戻し、遺産分割の対象とすべきか否かが話し合われ、結果的に、これを遺産分割の対象とせずに解決した事例

依頼者:女性(60代)
相手方:男性(40代)

事案内容(相談までの背景)
被相続人の前妻の子より、遺産分割調停が申し立てられ、どのように対応して良いか分からないということでご相談に来られました。

 
問題点
不動産、預貯金が主な遺産でしたが、遺産とは別に、依頼者が受取っていた被相続人の死亡保険金があり、この死亡保険金についても特別受益に準じて遺産に持ち戻して遺産分割の対象とすべきではないかということが争いになりました。

 
解決内容
死亡保険金の受取人が特定の相続人に指定されていたとき、死亡保険金請求権は、遺産とは別の受取人の固有財産となり、原則として遺産分割の対象にはなりません。
また、死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金は、原則として、特別受益とはなりません。もっとも、特別受益に準じて例外的に持ち戻しの対象となる場合もあります。

具体的には、保険金受取人である相続人と、その他の教導相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情がある場合です。
この「特段の事情」の考慮要素として、判例は、「保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情」を挙げています。

本件において、依頼者が受け取った死亡保険金は、原則どおり、依頼者の固有の財産であり、上記判例の考慮要素に照らし、持ち戻しの対象とならないことを主張しました。その結果、死亡保険金の持ち戻しを免れ、不動産と預貯金のうち、法定相続分に相当する代償金を相手方に支払うという内容で調停が成立しました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
相手方より、死亡保険金の持ち戻しを主張されましたが、判例を基にこの主張を否定し、早期に話合いがまとまり、調停を成立させることができました。

【遺言・遺産分割・遺留分】遺留分減殺請求を行い、共同相続人間で共有状態となっていた不動産を分割取得し、解決した事例

依頼者:長男(50代)
相手方:長女(60代)

事案内容(相談までの背景)
被相続人は、全ての遺産を長女に相続させる旨の遺言書を作りました。そこで、長男が、遺留分減殺請求を行いたいということで、当事務所にいらっしゃいました。

 
問題点
相手方より、被相続人の長男に対する生前贈を主張され、訴訟にて、長期にわたり攻防を繰り広げましたが、裁判所より、長男に対する生前贈与が多額であるため遺留分侵害は認められない旨の心証開示がありました。

 
解決内容
遺留分侵害は認められない旨の判決を取得しても、何ら抜本的な解決にはならないため、依頼者と相手方の共有名義となっていた土地を分割する内容で和解し、長期にわたる紛争を終了させました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
遺留分減殺請求訴訟においても、共有物分割の和解を行うことが可能です。紛争の抜本的な解決のために、どのような方向性で妥協点を探るか、柔軟に検討することが大切です。

【遺言・遺産分割・その他訴訟】遺言で会社の株式を2分の1ずつ取得した相続人間で、株式を買い取り、会社の支配を獲得した事例

依頼者:長男(50代)
相手方:長女(50代)

事案内容(相談までの背景)
被相続人は、何を考えたのか、長男と長女に対して50%ずつの株式を配分するように遺言書を作りました。
そのため、会社の支配を考えていた長男としては、株主総会を開いても支配を自分の側に移せず、膠着状態となってしまいました。
どうすれば良いか分からず、当事務所にいらっしゃいました。

 
問題点
50%ずつ株式を保有しているということですから、どちらからどちらに株式を移すなどということは強要できません。そのため、売買交渉は非常に難航しました。

最悪の場合、会社を解散させなければならないのですが、その場合は税金が余分にかかるし、不動産売却に伴って安い金額でしか売れずに損をしてしまう可能性がありました。

 
解決内容
株式の保有割合が均等であるため、会社の支配をどちらもできず、交渉は非常に難航しました。
お互い、売買代金額を譲らず、膠着状態に陥りました。

しかし、最後は、依頼者に解散を決意してもらった上で交渉に臨み、長女側から株式を買い取ることに成功しました。
買取金額については、当初長女側から提示されていた金額に比べれば相当程度低下させることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
遺言者は良かれと思い、株式を半々ずつ相続人に持たせることがあります。
もしくは、遺言で株式の帰趨を決めずに亡くなられるケースも少なくありません。

しかし、これは地獄への入口といっても過言ではないでしょう。
これがために会社はフリーズし、最悪解散となってしまいます。
今回は運良く解決できましたが、そういう苦しみを相続人に与えないように準備をして頂きたいところです。

【遺産分割】多額の債務を負ったことをきっかけに、失踪していた者の遺産分割

依頼者:長女、次女、長男(40代~50代)
相手方:女性(70代)

事案内容(相談までの背景)
被相続人(依頼者らの父)は、依頼者らが幼少の頃に、多額の借金を背負い、家出をしており、それきり依頼者らの前に現れることはありませんでした。

ところが、被相続人の生前、被相続人と生活していたという女性から、依頼者らに対し、被相続人の預貯金等の相続手続を行って欲しい旨の通知があり、依頼者らは被相続人の死亡を知りました。

依頼者らは、被相続人が、多額の借金を背負い家出をしたとの認識であったため、相続放棄をするべきか、また、相手方とどのように話を進めればよいか不安に思われ、当事務所にいらっしゃいました。

 
問題点
依頼者らは、被相続人の遺産(主に預貯金)を一旦相続して、解約手続を行い、解約金全額を相手方女性に渡す方向で検討されていました。
もっとも、被相続人が多額の負債を負っていれば、この負債をも相続することになってしまいますので、解約手続を進める前に、早急に相続放棄するか否かを判断する必要がありました。
この、相続放棄するか否かの判断にあたり、被相続人の負債状況を調査する必要がありましたが、被相続人の負債の有無は、主に長年被相続人と同居していた相手方女性より聴き取るほかありませんでした。

 
解決内容
まずは、相手方より伺った、被相続人の生前の生活状況、及び、かつて被相続人が所有していた不動産に設定された抵当権が抹消されていることから、かつて被相続人が負っていた負債が完済されている可能性が極めて高いと判断し、相続放棄をしないことを決断されました。
続いて、相手方との間で、合意書を交わし、解約した被相続人の預金を相手方に支払い、解決となりました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
相続放棄の手続には時間的制限があります。すみやかに判断するために、効率的に情報を収集しなければなりません。
今回は、早い段階で、相手方女性と信頼関係を築き、相手方女性と依頼者ら同席のもとで、相手方女性より、被相続人の生前の様子を伺えたことが、早期解決のポイントになりました。

どのような事案も、1つとして同じものはありません。その事案に応じた適切・柔軟な対応が必要となります。
少しでも不安があれば、専門家に早期にご相談されることをお勧めします。

【その他訴訟】内縁の妻による預貯金引き出し

依頼者:兄弟ら
相手方:内縁の妻

事案内容(相談までの背景)
相談者様のお兄様が亡くなり、内妻から、兄の荷物を片づけてほしいとして荷物を渡されたので、相談者様が兄の遺産を整理しようと考え預貯金口座を解約しに行ったところ、口座の残高が空になっていたそうです。

履歴を見てみると、お兄様の入院後にごっそり口座からお金が引き出されていたそうです。お兄様には妻子がなく、長年内妻の女性と暮らしていたそうで、どうやら預貯金はこの内妻が全て引き出したようです。

お兄様には遺言もなく、全て内妻に遺すというようなことも、お見舞いに行った兄弟誰も聞いたことがなかったため、どうしたものかと私共のところにおみえになりました。

 
問題点
お兄様の預貯金を、生前のお兄様の意思に反して引き出した行為、及び、死後の相続人の兄弟らの意思に反して引き出した行為は、いずれも不法行為ないし不当利得にあたります。したがって、内妻の妻は、相続人らに対して、引き出したお金を返還する法的義務を負います。
内妻は、相続権がありませんから、一部であっても取得する権限がないのです。

もっとも、お兄様の生前の引き出しについては、お兄様自身が引き出したかもしれませんし、仮にお兄様ではなく内妻の引き出しであったとしても、引き出し行為がお兄様の意思に反していたのか、不確実な部分もあります。本件では、この期間の引き出しをどのように考えるかが、争われる可能性が高いと考えられました。

 
解決内容
案の定、内妻側は、お兄様が生前内妻に預貯金を贈与したのだと主張して争ってきました。
こうなると、お兄様の生前の意思がカギになります。

そこで、我々は、お兄様の入院後、特に意識混濁後は、お兄様が自分で意思表示を行うことができなかったと考えられますから、お兄様の看護記録を精査するなどし、お兄様がご自身で意思表示できなかったであろう時期を明らかにすることにしました。少なくともこの時期以降の引き出しは、無関係に引き出しがなされたと考えるのが自然だからです。

こうして、生前の内妻による引き出しについては、入院後(少なくとも意識混濁後)の引き出しは少なくとも相続人らに返還されるべきであるとして交渉し、無事、裁判にまでならず、交渉で妥当な金額での解決に至ることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
生前の引き出しについては、故人の生前の意思についての手がかりを探すこととともに、看護記録を取り寄せるなどして、生前に意思表示が不可能な時期を明確にすることも有用です。とくに、故人の意識が混濁した後の引き出しについては、故人の意思に反しているとの推定が強く働きますので、決め手となる場合もあります。

【その他訴訟】特別縁故者に対する財産分与の申立てが認められた事例

依頼者:男性(40代)
相手方:2名

事案内容(相談までの背景)
依頼者の方は、親戚の男性(被相続人)を父の代わりのように慕っていたところ、被相続人が亡くなられたので、相続はどのようになるのか、相談に来られました。

 
問題点
被相続人には、相続人がいませんでした。
このままでは、被相続人の財産は国庫に帰属することになってしまいます。
そこで、被相続人の生前に被相続人と特に親しくしていた者(特別縁故者)に対して、相続財産の一部を分与するよう、家庭裁判所に申立をしました。

 
解決内容
依頼者の方から、被相続人とどのような親交があったか聞き取り、当該内容を申立書に記載しました。
また、それらの事情となる証拠も収集して、裁判所に提出しました。
その結果、被相続人の財産のうち、一部を分与するとの決定を得ることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
特別縁故者に対する財産分与の申立ては、申立人と被相続人との間に、通常の親族関係を超える深い親交がある場合に限り認められます。
依頼者と被相続人の交流について、丹念に聞き取り、客観的な証拠を提出したことが、よい結果につながったと思います。

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