相続問題解決事例

遺産分割

【遺言、遺産分割、寄与分】相手方が取り込んだ遺産の大半を取り戻した事例

依頼者:被相続人の孫(30代)で、代襲相続人
相手方:被相続人の長女(60代)

事案内容(相談までの背景)
依頼者は被相続人の長男の子供ですが、長男は既に死亡していたため、代襲相続しました。公正証書遺言では、全財産を依頼者に相続させる、と書かれていました。相手方は叔母さんなので全面的に信用して、遺産の土地建物処分、預貯金の解約払戻を任せました。ところが、全くその後の経過を報告せず、1000万円だけ渡してくれましたが、それ以外は遺産が500万円位しかなく、それは自分の遺留分だと主張しました。

 

問題点
相手方の弁護士が代理人として付いた結果、遺産の全容が分かり、2000万円が全遺産だと判明しました。ところが、被相続人の自筆での遺言書があり、それには全遺産を相手方に相続させる、と書かれていると言ってきました。また、実印を預かる段階で、遺言書によらずに、半分ずつ分けることで合意した、従って1000万円だけ渡せば、それ以外に支払う必要はない、と反論してきたのです。
 

解決内容
相手方は、家庭裁判所へ調停申立をしました。私の方では、あくまでも500万円を支払うよう求めましたが、結果としては、450万円支払うことで合意が成立しました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
自筆証書遺言については、作成年月日も書かれておらず、捺印もなかったことから、無効であることを主張しました。勿論、筆跡も疑わしいところがありました。また、遺産分割協議書については、依頼者の実印は押されているものの、署名はないし、このような不利な内容の書類に同意するはずがない、と反論しました。また、最終的には刑事告訴と民事訴訟提起する強く主張することで、相手方は譲歩しました。

【遺産分割】相続分譲渡を拒否された相続人に対する一定の代償金の支払いを条件として、すべての遺産を取得するという審判を得ることができた事例

依頼者:被相続人の弟(60代)
相手方:被相続人の兄弟姉妹30人以上

事案内容(相談までの背景)
子どもがなく、妻には先立たれていた男性が亡くなったため、兄弟姉妹が相続人となった事案です。
男性の父親が再婚であったため、相続人となる男性の兄弟姉妹は、男性の父親の前妻との間の子(お父さんだけ同じ兄弟姉妹。半血兄弟といいます。)と、その後再婚した妻との間の子(両親とも同じ兄弟姉妹)の合計15人でした。
さらに、相続人である兄弟姉妹のうち多くが亡くなっていたため、兄弟姉妹の子どもたち(男性の甥姪)も相続人となり、結局、相続人は、合計40名になりました。相続人が多数である上、交流はほとんどなかったため、各相続人の生死さえよくわらかない状態でした。

 

解決内容
まず戸籍をたどって相続人を確定した後、各相続人に連絡をとり、相続分の兄への譲渡を依頼しました。
弁護士が交渉した結果、ほとんどの相続人から相続分の譲渡を受けることができ、兄の相続分は大幅に増加しました。
また、中には、認知症を患い、判断能力を欠く状況となっている相続人もいたため、後見人の選任申立も行いました。このような手続を経た上で、遺産分割の審判を申し立てたところ、相続分譲渡を拒否された相続人に対する一定の代償金の支払いを条件として、すべての遺産を兄が取得するという審判を得ることができ、無事相続手続は完了しました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
かつては兄弟姉妹が多かったため、相続人が多数にのぼるケースがあります。
相続発生から時間が経過してしまうと、相続人の死亡により、さらに相続人が増加していき、遺産分割手続を行うことが難しくなっていきます。子や孫に面倒事を引き継がせないためにも、早いうちに対応することが必要です。
 
また、顔も知らない相続人に対し、相続分譲渡の依頼をしても、相手からは不信に思われてしまいますが、今回は弁護士が交渉したことによって、ほとんどの相続人から相続分譲渡を受けることができました。
さらに、相続人が判断能力を欠く場合には、遺産分割手続にあたり、後見人選任等の手続も必要となりますが、今回はこの手続も当事務所にて行い、スムーズに進めることができました。

【遺産分割】相続人が多数いたが、少額の謝礼を支払ったことで、被相続人の財産を全て依頼者が取得することができた事例

依頼者:亡くなった方(女性)のお兄さん
相手方:10人

事案内容(相談までの背景)
相続人である兄弟が多数いて、亡くなっている兄弟も多く、ご依頼者様では甥や姪と話ができませんでした。
また、相続人の中には精神病院に入院している方もいて、そもそも話ができない状況であるため、当事務所が手続を行いました。

 

解決内容
まず、家庭裁判所に調停申立てを行い、話し合いのテーブルを設けました。当事務所から、相続人全員を調査し、丁寧に相続分譲渡の依頼をした結果、全ての当事者から譲渡の同意を取り付けることができました。戸籍調査の過程で精神病院に入院した相続人が死亡していることが判明したので、さらにその相続人を調査し、相続分譲渡の同意を取り付けました。結果的に、少額の謝礼金を支払ったことで、被相続人の財産全てを依頼者が取得することができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
上手に手続外で相続分譲渡が受けられると迅速に遺産分割の解決ができます。
 
 
 
 

【遺産分割】夫の前妻の子供と夫の遺産分割で争ったが、弁護士が介入することにより、双方納得の結果で解決できた事例

依頼者:妻(60歳代 自営業)
相手方:夫の前妻の子供2名

事案内容(相談までの背景)
夫が急死して(70歳代 無職)、遺産として預貯金とマンションが残りました。前妻の子供と夫は10年以上接触がありませんでしたが、夫の死亡後、前妻の子供からマンションをすぐ立ち退けと強い催促を受けました。相手方は弁護士を付け、その弁護士も同調し、「警察に訴える」等と言って、依頼者へ再三強い説得をしてきました。また、夫の死亡後、依頼者が預貯金の大半を下ろしてしまったことも責められ、当事務所にご相談に来られました。

 
問題点

  1. 妻はマンションからすぐに立ち退く義務があるのか。
  2. マンションから立ち退かないこと、死後預貯金を払い戻したことが犯罪になるか。
  3. マンションの評価の方法・換価方法。

 
解決内容

  1. 刑事事件に発展することはなく、マンションは、依頼者も取得を望まなかったので、立ち退いた上で、双方が不動産売買仲介業者に依頼し、高い方の買い手に売却して、相続分に従い配分しました。
  2. 依頼者が立て替えた葬儀費用約150万円、49日法要費用約22万円を遺産から控除できました。
  3. 飲食業関係の権利は遺産から除外して、依頼者が単独で承継できました。

 

bengosi解決のポイント(所感)

  1. 65歳過ぎたら、遺言(遺言公正証書が望ましい)を作成した方が良いでしょう。
  2. 通夜、葬儀関係の出費、法事費用を立て替えた相続人は、相続財産から控除するよう要求すべきです(裁判例からは難しくても、調停実務で控除する例が少なくないです。)
  3. 飲食業関係の権利は通常遺産に含まれますが、相手方相続人とって無価値な場合もあるので、戦術を考えるべきです。
  4. 不動産の評価方法は、売却する場合は、実際の売値になります。相続人の誰かが取得する場合は、①固定資産税評価額、②路線価、③不動産業者の査定価格、④不動産鑑定士の鑑定価額が挙げられます。

【遺産分割】息子さんが亡くなった事案でお父さんとお嫁さんとの間で遺産分割協議を早期に成立させました。

依頼者:被相続人の父(80代)
相手方:被相続人の妻(40代)

事案内容(相談までの背景)
息子さんが不慮の事故で亡くなり、子供がいなかったため、のこされたお父さんとお嫁さんとの間で遺産分割を行う必要がありました。
 
奥さんは兵庫県の出身であり、息子さんが死亡してからは、そのまま実家に帰ってしまっていました。
 
なかなか話し合いがまとまらないため、お父さんがご相談にみえました。

 

解決内容
事案としては、非常に単純で、お父さんとお嫁さんしか相続人がいませんでしたから、両者の法定相続分は、お父さん:お嫁さん=1:2です。
よって、こちらで解約等の手続を行うからお嫁さんに様々な書類にサインしてもらい、一定期間内に、全財産の3分の2に相当する金員を振り込みます、という提案を行いました(但し、お父さんから息子さんへの贈与金があったので、この分はこちら側が取得する計算で配分を決定しました。)。
 
当事務所から受任通知を送り、上記の提案をしましたところ、1か月程度で遺産分割協議が実現し、遺産分割を完了させることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
当事者同士で話し合っていても、なかなか前に進まないことがよくあります。弁護士が立つと一気に話が進むこともあります。
 
また、本件では、話し合いがまとまらないと、こちらから遺産分割調停を兵庫の裁判所に申し立てる必要がありました。そのような無駄を避けることができたのもご依頼頂いたからだと思います。

【遺産分割】長年放置されていた不動産の遺産分割調停につき、不動産を売却して現金化した上で、早期に遺産分割調停を成立させることができました。

依頼者:被相続人の長男(40代)
相手方:被相続人の三男(40代)

事案内容(相談までの背景)
父親が亡くなり、母と長男、次男、三男が相続人となった事案です。
 
父親の遺産は、父親が居住していた自宅のみでした。母親と長男、次男は、母子で平等に相続しようと主張しましたが、三男がこれに反対し、母親が一人で取得すべきだと主張しました。
長男、次男が折れて、母親が取得することに同意しましたが、三男は、意見を変え、今度は母親には取得させたくないと言い出しました。
 
結局、話し合いはまとまらず、父親の死後、20年以上、遺産分割されないままに放置されていましたが、母親が施設に入所したことをきっかけに、遺産分割を進めたいと希望し、長男がご相談にみえました。

 

解決内容
長男は、母親から相続分譲渡を受けていたため、次男と三男を相手方として、遺産分割調停を申立てました。
母親からの相続分譲渡を前提に、当方では、法定相続分にしたがい、次男6分の1、三男6分の1、長男が6分の4の割合で自宅を取得し、住む人もいないため、売却して現金化してそれぞれが取得することを提案しました。
 
次男はこれに同意しましたが、三男は、母親も含めて、法定相続分での遺産分割協議が成立していたはずだと強硬に主張しました。しかし、そのような協議の成立を証明するものもなく、結局、調停手続の中で売却して当方の主張どおり分配することとなりました。
 
不動産の売却にあたり、売却最低価格の設定など、細かい条件について協議し、中間的な合意をしました。合意後に不動産を売りに出したところ、買い手がつき、無事に売却して、それぞれ現金を取得することができました。
調停が始まってから、終了するまで、半年ほどの早期解決となりました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
当事者同士で話し合っていても、なかなか前に進まないことがよくあります。まず調停を申立てれば、その後話し合いができなくとも、審判手続となって、裁判所が結論を出しますので、このように、結論が出る手続を進めることが重要です。
 
不動産の売却にあたっては、不動産業者や測量業者などとのやりとりが必要になり、また対立する当事者間で、誰がお金を管理するのかも問題になります。
当然、当事者間では、相手方が主導して売却手続を進めたり、お金を管理するのは同意できないということになりがちですが、弁護士が入って手続を行うことで、売却手続をスムーズに進めることができました。

【遺産分割】相続人が20人以上にのぼる相続で、行方不明者の相続人もいましたが、遺産分割調停を成立させることができました。

依頼者:被相続人の甥(50代)
相手方:相続人20人以上

事案内容(相談までの背景)
被相続人は妻子がなく、甥(依頼者)が、被相続人の世話をしていました。
しかし、遺言がなかったため、相続人は兄弟や甥姪など20人にのぼりました。
居場所も分からない連絡も取れない相続人もいて、被相続人の法事すら自腹でしなければならない状態でした。

 

解決内容
まず、戸籍等を全て取り寄せて、相続人を確定し、手紙を出しました。
手紙は届くが反応のない人もいましたが、手紙すら届かない人もいました。
このような場合、裁判所に財産管理人を選任してもらう必要がありますが、裁判所にお金を納めないといけません。
遺産の中に預金があったので、相続預金払戻の裁判を起こし、相続預金だけ先に払ってもらい、そのお金で財産管理人を選任してもらいました。
そのうえで、遺産分割調停を申し立てました。
 
多くの相続人は、甥(依頼者)が被相続人の世話をしていたのだからということで、無償に近い金額で、すべて取得してよいと言ってくれました。
弁護士を付けて権利主張をした相続人もいましたが、最終的には調停を成立させることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
地道に相続人の居場所を探して、調停を申し立てる以外ありません。
本件では、相続預金がそれなりにあったので、依頼者の方も、自腹を切らずに最後まで手続きすることができました。
 
相続人が多くなる前に手を打っておくことがポイントです。
この事件の中でも、途中で亡くなった人がいて、その相続人が引き継いで調停を成立させました。
子どもがいない人は、兄弟姉妹が相続人になることがあり、膨大な数の相続人になることがありますが、その多くは疎遠な人が多いはずです。世話をしてくれる人や親しい人に対して、遺言を書いてあげることが重要です。

【遺産分割】相続分よりかなり低い金額で遺産分割協議をすることができました。

依頼者:被相続人の妻(60代)
相手方:甥

事案内容(相談までの背景)
夫が亡くなりましたが、夫婦間に子がいないため、甥(夫の弟の子)と一緒に相続することになりました。
甥は、夫と疎遠であり、遠方に居住していました。

 

解決内容
まず、甥に対し、被相続人が死亡したこと、相続分を譲渡してほしいことを手紙で伝えしました。
甥から連絡がありました。
甥といっても1/4の相続分があるため、交渉は難航することが予想されました。
しかし、話合いの末、1割程度の金額を支払うことで、遺産分割協議を成立させることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
本件では、遺産といっても、不動産が多くを占めており、換金には困難を伴う可能性がありました。
また、甥は遠方に住んでおり、不動産をもらっても有効活用することは不可能でした。
預貯金などの金融資産も多くの金融機関に分散されていました。
相続税の申告も必要でした。
 
相続の手続は煩わしいことが多く、揉めてしまうと泥沼化することも多々あります。
そこで、預貯金の払戻しや相続税の手続も含め、煩わしい当方で全て行うと申し出ました。
甥は、煩わしい手続はなしで、相当な金銭が入ってくるだけという状態にしたことで、気持ちよくサインしてもらうことができました。

【遺産分割】行方が分からなかった相続人を探し出し、預貯金の遺産分割を円満に行うことができました

依頼者:被相続人の養子(弟・60代)
相手方:長男

事案内容(相談までの背景)
被相続人(女性)は、長男がいましたが、離婚後全く接触が無く、行方が分からなくなっていました。
被相続人の弟は身寄りの無い被相続人と養子縁組をし、遺言書で被相続人の不動産を相続していましたが、預貯金については遺言がありませんでした。
そのため、預貯金について別途遺産分割協議を行う必要があり、長男と話し合う必要がありました。
そこで、遺産分割協議と調停の委任を受けることになりました。

 

解決内容
被相続人の戸籍謄本をたどっていき、被相続人の長男が現在どこに住んでいるかを調査しました。
その上で、被相続人が死亡したこと、遺産分割協議をしたいこと、を手紙で伝えましたが、一向に連絡がありませんでした。
 
やむなく、遺産分割調停を三重県で申し立て、長男に出頭してもらい、長男に事情を説明しました。
預貯金については2分の1で分けること、そのための手続には全面的に協力することの了解を1回の期日で取り付け、一気に預貯金を分割することができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
遺産分割は、様々な感情対立があるため、始め方を誤るとこじれることがあります。
本件では、長男が被相続人に捨てられたという感情を持っており、当事者が出ていくと、長男側との交渉が長引く可能性もありました。
代理人が客観的な状況を説明することで、感情対立を回避し、早期の解決につなげることができたものと思います。

【遺産分割】前妻の子どもが相手方となる遺産分割で、中古住宅を調停手続中に売却し、遺産分割調停を成立させることができました。

依頼者:妻(70代)
相手方:夫と前妻との子ども

事案内容(相談までの背景)
夫が亡くなり、遺産として、中古住宅や消費者金融からの借金が残りました。相続人は、妻と2人の子ども、そして30年前に離婚した前妻との間の子ども(A子)の4人でしたが、A子と妻は全く交流がありませんでした。妻は、とりあえず自分のお金で借金を返済しましたが、A子の連絡先は全くわからなかったため、遺産分割協議ができず、当事務所に相談されました。そこで、当事務所でA子の住所を調べ、遺産分割調停を申立てました。

 

解決内容
A子は、弁護士をつけずに調停に出席しました。
A子は、離婚に至ったことに対する不満など相続とは無関係の主張を繰り返し、またこちらの提案に対してはことごとく反対しました。

 
実は、遺産のうち、消費者金融からの借金は、払いすぎの状態にあり、逆に消費者金融に対しお金(過払金)を請求できる状態になっていたのですが、調停が成立せず、審判となってしまった場合には、A子は、消費者金融に対して、自分で過払金を請求する手続をせざるを得なくなります。
当方は、このような調停が成立しなかった場合のデメリットをいくつも説明し、粘り強く提案を行いました。

 

その結果、A子の態度も徐々に軟化し、最終的には、過払金返還請求権を妻が取得し、また中古住宅についても売却することで合意し、調停手続内で売却して、現金化することができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
現在の妻子と、前妻との子どもとが相続人になる場合には、感情的な対立が極めて激しくなります。遺言があっても遺留分をめぐって紛争となり、遺言がなければ遺産分割協議など到底できませんので、遺産分割内容をめぐって紛争となることが多いです。

 

本件では、調停を成立させることのメリット、審判になってしまうことのデメリットを、それぞれ具体的に主張して相手方に伝え、粘り強く提案を続けたことが、調停成立につながったと感じました。

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