相続問題解決事例

遺産分割

【遺産分割】共有名義の不動産がある事案で遺産分割を成立させることができた事例

依頼者:被相続人の妻(60代)
相手方:被相続人の兄弟姉妹

事案内容(相談までの背景)
被相続人の遺産は、不動産、預貯金、株式であり、不動産については共有名義のものがあるため、誰が何を取得するかで争いが生じました。
また、不動産の価格についても意見の相違があったため、その調整も必要な事案でした。

 
問題点
以下の3つの問題点がありました。
①誰がどの遺産を取得するか。
②不動産の価格をどうするか。
③共有名義の不動産をどのように処理するか。

 
解決内容
相手方が遺産分割調停を申し立てたため、調停手続の中で、①~③の問題点について話し合いがなされました。
その結果、
①「誰がどの遺産を取得するか。」については、相続人間で歩み寄りをすることができたため、基本的には各々が希望する遺産を取得することができました。
②「不動産の価格をどうするか。」についても、鑑定を実施するかどうかも検討されたのですが、最終的には話し合いにより妥結点を見つけることができました。
③「共有名義の不動産をどのように処理するか。」については、不動産業者に売却を依頼し、持分に応じて売却代金を振り分けるということで解決を図ることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
遺産分割の具体的な方法については、何か決まった正解があるわけではないため、じっくり話し合いをして決める他ありません。
本件でも、相手方の言い分を拒絶するのではなく、どこか折り合える場所がないかを模索しながら話し合いを続けていったために、妥結点を見つけることができたと考えております。
 
但し、当事者だけで話し合いをしていると、どうしても感情的になってしまい、収拾が付かないというケースも散見されます。そういったケースでは、冷静になって話し合うために、弁護士を間に挟んでみるのも一度検討してみると良いかと存じます。

【遺産分割】特別受益や寄与分を主張する等して代償金の支払を低額に抑えることができた事例

依頼者:被相続人の次男
相手方:被相続人の長女他

事案内容(相談までの背景)
被相続人の遺産は全て自分が取得するということで争いはないが、多額の代償金を請求されて困惑している。少しでも代償金を下げられるように尽力して欲しいということで相談に来られました。

 
問題点
代償金を如何に減額させるかが問題になりました。

 
解決内容
相手方は、被相続人名義の不動産の評価額を高額な価格に設定することにより、代償金の要求額を引き上げていました。
そこで、適正な価格を当方で調査し、その結果を相手方に伝えることによって、代償金の金額を引き下げることができました。
 
また、相手方は生前、被相続人から多額の金銭の援助を受けていたことから、その点を主張し、特別受益として考慮することによって、代償金の金額を引き下げました。
加えて、被相続人が多額の遺産を築くことができたのは、依頼者の功績があったからであるということを主張することによって、代償金の金額を引き下げました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
以上のとおり、本件は代償金の金額を如何に下げるかという問題でしたが、不動産の適正価格を主張したり、特別受益や寄与分を主張することによって、大幅に代償金を引き下げることができました。
特別受益や寄与分は、専門的な知識が要求されますので、気になる方は一度弁護士に相談されることをお勧めします。
 
遺産分割事件は、弁護士に相談することによって打開策が見えてくることも多いと思いますので、お悩みの方は気軽にご相談頂ければと存じます。

【遺産分割・特別受益】遺産分割調停により早期に協議解決できた事例

依頼者:男性(50代)
相手方:女性(70代)

事案内容(相談までの背景)
依頼者のお父様が亡くなり、依頼者としては遺産分割を希望していましたが、相手方となった依頼者の母親は、遺産はないし、すでに依頼者に対して十分に贈与してきたから渡すものはないとして、遺産分割を拒否しました。
 
お父様の遺産についても開示されなかったため、依頼者が銀行などにおいて調査したところ、実際には、遺産として、自宅土地建物や、500万円ほどの預金があることが判明しました。依頼者としては、贈与を受けたことはないため、きちんと遺産分割してほしいが、自分がいくら話をしても聞いてもらえないということで、ご相談に来られました。

 
問題点
生前に、被相続人から贈与を受けている場合、「特別受益」といわれて、遺産分割のときに考慮されることがあります。これは、遺産の前渡しとして生前に被相続人からもらっているものがある場合、遺産分割のときに考慮しないと不公平になるためです。
 
もっとも、親子関係がある場合には、お金をもらっていても、扶養義務の範囲とされる場合もあり、すべてが特別受益となるわけではありません。そもそも、贈与の存在については、その存在を主張する人が証明しなければなりませんが、相手方からは、この点の立証が全くありませんでした。

 
解決内容
相手方に対し、内容証明を送付し、直接交渉しましたが、具体的な贈与の立証はされないまま、依頼者へ遺産を渡したくないと主張されました。やむを得ず、遺産分割調停を申し立て、調停の場で協議することとなりました。調停では、裁判所からも法律上の規定について説明していただき、最終的には生前の贈与について一切考慮せず、法定相続分である2分の1の遺産を受け取ることで調停が成立しました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
お小遣いとして少し渡しただけであるとか、いくらか贈与した「はずである」ということでは、特別受益としては認められません。
 
特別受益を主張する場合には、いつ、いくら贈与したのか、具体的に主張立証する必要があります。このような法的な評価を伴う点が問題になる場合、なかなか当事者間での話し合いでは理解していただくのが難しく、裁判所で調停を行った方がよいことがあります。当事者間の協議で時間を費消してしまう場合もありますので、早期に専門家に相談することをお勧めいたします。

【遺産分割】遺産分割について、不動産を取得したことに伴う代償金の金額を抑えることができた事例

依頼者:女性(60代)
相手方:男性(60代)・男性(50代)

事案内容(相談までの背景)
3人の共有となっている土地について相続が発生したところ、当該土地は長年依頼者が使ってきたため、単独で所有することにしたいと考えている。
代償金を払う必要があることは分かっているが、それほど多くの資産があるわけではないので、できる限り支払額を抑えたいと思っている。
依頼者では上手く交渉できる自信がないので、弁護士に入って欲しいということで相談に来られました。

 
問題点
本件の土地は、遺産分割の対象となる部分と共有物分割の対象となる部分が混在しているという問題点がありました。
すなわち、相手方固有の持分が存在していたため、遺産分割だけでは解決できず、共有物の分割手続も本来取らなければならない事案でした。
 
もっとも、遺産分割と共有物分割の両方の手続を行おうとすると、かなりの手間と費用が掛かってきますので、話し合いで上手く解決できないかを模索することになりました。

 
解決内容
当該土地の固定資産税評価額を調査し、かかる金額をベースに代償金の支払を提案したところ、提案額から少し上乗せした金額で話をまとめることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
代償金の計算根拠を丁寧に説明したことや当該土地を何故取得したいと考えているかを具体的に説明したことにより、相手方の理解を得られ、代償金の額を比較的低額に抑えることができたと思っております。
 
また、本件では遺産分割調停の中で話をまとめることができたため、かなり早く事件を終結させることができました。
 
共有物分割手続も行っていたら、かなりの時間が掛かっていたと思われるため、早期に解決をさせることができ、良かったと思っています。
本件のような特殊な事案(遺産分割と共有物分割が混在するような事案)は、専門的な知識を要することがよくありますので、このような難しいケースの場合は、一度弁護士に相談に行かれることをお勧めいたします。

【遺産分割】遺産分割について、協議によりすみやかに解決できた事例

依頼者:女性(50代)
相手方:男性(50代)他2名

事案内容(相談までの背景)
被相続人は、60代男性でしたが、独身のまま亡くなられました。すでにご両親も他界されていたため、兄弟姉妹が相続人となりました。また、被相続人の兄は、被相続人より前に亡くなられていたため、甥姪も相続人となりました。

相続人間で話し合いをしましたが、被相続人のお墓をどうするかなど、遺産分割とは違った問題で話し合いがまとまらず、ご相談にみえました。

 
問題点
遺産分割協議では、基本的に、被相続人が亡くなった時点で存在した財産の分け方について協議するものになります。

よく問題になりますが、例えば葬儀費用については、原則として遺産分割協議の対象にはなりません。

また、お墓は遺産ではありませんので、お墓について、今後誰がどのように管理していくのか、という問題も遺産分割協議とは別の問題です。遺産分割の対象となる事項とならない事項とをわけて考える必要があります。

 
解決内容
相手方となった複数の相続人に対し、遺産分割協議の対象となるものとならないものがあることについての説明を記載し、内容証明郵便を作成して送付しました。

また、遺産管理費用として、被相続人の遺産である不動産の固定資産税や、上下水道料金、一人暮らしであったため、諸々の不用品を処分する費用などが発生していましたので、その費用については、遺産分割協議の中で一緒に精算する形としました。

内容証明郵便の内容について、各相続人の納得が得られ、遺産分割協議書を作成して、協議をまとめることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
遺産分割協議において考慮すべき費用と、考慮されない費用は何なのか、何にいくらかかったのか、どのように計算した結果、各相続人の取得分がいくらになるのか、などといった話は、漫然と話していても前に進みません。具体的に理屈と算定根拠を明示して進める必要があります。
  
今回は詳しくご説明して相続人皆さまに納得いただくことができましたので、遺産分割協議を成立させられました。

【遺産分割】遺産分割調停を申し立て、調停に代わる審判により解決した事例

依頼者:女性(30代)
相手方:男性(40代)他3名

事案内容(相談までの背景)
被相続人の死後、何度か相続人間で遺産分割協議をしましたが、折り合いがつかず、どうしても当事者間で話し合いができないということでご相談にみえました。
遺産の大半は、不動産であり、その分け方などが問題でした。

 
問題点
不動産の分け方、評価、また被相続人の生前に相手方へ贈与されている金額を特別受益として考慮できるのかなどが問題となりました。
また、健康上の問題から、どうしても裁判所まで来られないという相続人の方もいらっしゃいました。

 
解決内容
内容証明郵便を送り、皆の主張をふまえて遺産分割協議案を作成して提示しましたが、取得する不動産と特別受益の金額の考慮につき争いとなり、話し合いはまとまりませんでした。

やむなく名古屋家裁に遺産分割調停を申し立てました。遺産分割調停でもなかなか話はまとまりませんでしたが、当方から具体的な解決案を示したところ、最終的に裁判官が出てきて説得し、話を取りまとめることができました。

結論としては、調停に代わる審判という形で解決することができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
遺産分割協議は、相続人が多いと皆の主張をまとめることが困難となり、紛争となりがちです。また、不動産については、複数あると、誰がどの不動産を取得するのか、また誰も取得を希望しない場合にどうするかなど、色々な問題が発生してきます。
 
今回のように、当事者間または代理人を通じた話し合いではどうにもならない場合であっても、裁判官から説得していただくと解決できる場合があります。
 
また調停においては、通常は、当事者全員が裁判所へ出頭しますが、最近はWEB会議など、様々な手法で手続を進めることができるようになってきました。
 
また今回の場合は、調停に代わる審判により解決しましたので、当事者のうち1名は出頭しないまま、手続を終わらせることができました。調停に代わる審判とは、裁判所が適切な解決案を審判という形式で示す方式で、有用な場合もあります。

【遺産分割】夫の兄弟と、早期に遺産分割協議をまとめ、遺産にあった不動産を売却できた事例

依頼者:女性(60代)
相手方:女性(60代)

事案内容(相談までの背景)
被相続人は会社経営をしている男性で、妻を残して急死されました。夫妻には子がなかったため、夫の兄弟と妻が相続人となりました。
現預金があまりなく、遺産は不動産ばかりでしたので、早期に不動産を処分し、兄弟達に代償金を支払って解決する必要がありました。

なお、被相続人の会社の株式について、夫が妻に生前贈与をしていたのですが、その株式の評価額をめぐって相続人間で対立がありました。

 
問題点
問題点としましては、千葉と名古屋に不動産が多数ありましたので、それぞれの評価額が問題となりました。
各相続人は、自分が取得する予定の不動産は低く、相手方が取得する予定の不動産は高く主張していたため、両者の開きはなかなか埋まりませんでした。

また、先ほど述べたように、妻は夫から会社の株式を生前贈与されていたため、その評価額が争われました。
当該会社は債務超過でしたので、資産価値はゼロだというのが当方の主張でした。これに対して、存続している以上、価値はゼロでは無いはず、というのが相手方の主張でした。
 
解決内容
結論としては、妻の相続分が4分の3であることから、多少妻側が譲歩しても、結論に影響がすくなかったため、妥協をしました。

上記のとおり、遺産の殆どが不動産であったため、妻側が不動産を取得する代償として多額の現金が必要となります。
そのため、早期に不動産を売却する必要があったため、売却したら、金●円を渡す、という約束をして、早期に遺産分割調停を成立させました。

その後、不動産は2か月程度で売却でき、代償金を用意することができました。
なお、債務超過の会社の株式については、ゼロ評価でまとまりました。
 

bengosi解決のポイント(所感)
不動産を早期に売却するためには、売却後の代金分配予定額を計算して、売却後数か月以内に支払うと約束をすれば、すっと解決することができる場合があります。
本件は、運良く、早期に遺産分割協議が成立し、不動産以外の点は妥協しあって相続人間で納得のいく解決ができたと思います。

【遺産分割】死亡保険金を遺産に持ち戻し、遺産分割の対象とすべきか否かが話し合われ、結果的に、これを遺産分割の対象とせずに解決した事例

依頼者:女性(60代)
相手方:男性(40代)

事案内容(相談までの背景)
被相続人の前妻の子より、遺産分割調停が申し立てられ、どのように対応して良いか分からないということでご相談に来られました。

 
問題点
不動産、預貯金が主な遺産でしたが、遺産とは別に、依頼者が受取っていた被相続人の死亡保険金があり、この死亡保険金についても特別受益に準じて遺産に持ち戻して遺産分割の対象とすべきではないかということが争いになりました。

 
解決内容
死亡保険金の受取人が特定の相続人に指定されていたとき、死亡保険金請求権は、遺産とは別の受取人の固有財産となり、原則として遺産分割の対象にはなりません。
また、死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金は、原則として、特別受益とはなりません。もっとも、特別受益に準じて例外的に持ち戻しの対象となる場合もあります。

具体的には、保険金受取人である相続人と、その他の教導相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情がある場合です。
この「特段の事情」の考慮要素として、判例は、「保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情」を挙げています。

本件において、依頼者が受け取った死亡保険金は、原則どおり、依頼者の固有の財産であり、上記判例の考慮要素に照らし、持ち戻しの対象とならないことを主張しました。その結果、死亡保険金の持ち戻しを免れ、不動産と預貯金のうち、法定相続分に相当する代償金を相手方に支払うという内容で調停が成立しました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
相手方より、死亡保険金の持ち戻しを主張されましたが、判例を基にこの主張を否定し、早期に話合いがまとまり、調停を成立させることができました。

【遺言・遺産分割・遺留分】遺留分減殺請求を行い、共同相続人間で共有状態となっていた不動産を分割取得し、解決した事例

依頼者:長男(50代)
相手方:長女(60代)

事案内容(相談までの背景)
被相続人は、全ての遺産を長女に相続させる旨の遺言書を作りました。そこで、長男が、遺留分減殺請求を行いたいということで、当事務所にいらっしゃいました。

 
問題点
相手方より、被相続人の長男に対する生前贈を主張され、訴訟にて、長期にわたり攻防を繰り広げましたが、裁判所より、長男に対する生前贈与が多額であるため遺留分侵害は認められない旨の心証開示がありました。

 
解決内容
遺留分侵害は認められない旨の判決を取得しても、何ら抜本的な解決にはならないため、依頼者と相手方の共有名義となっていた土地を分割する内容で和解し、長期にわたる紛争を終了させました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
遺留分減殺請求訴訟においても、共有物分割の和解を行うことが可能です。紛争の抜本的な解決のために、どのような方向性で妥協点を探るか、柔軟に検討することが大切です。

【遺言・遺産分割・その他訴訟】遺言で会社の株式を2分の1ずつ取得した相続人間で、株式を買い取り、会社の支配を獲得した事例

依頼者:長男(50代)
相手方:長女(50代)

事案内容(相談までの背景)
被相続人は、何を考えたのか、長男と長女に対して50%ずつの株式を配分するように遺言書を作りました。
そのため、会社の支配を考えていた長男としては、株主総会を開いても支配を自分の側に移せず、膠着状態となってしまいました。
どうすれば良いか分からず、当事務所にいらっしゃいました。

 
問題点
50%ずつ株式を保有しているということですから、どちらからどちらに株式を移すなどということは強要できません。そのため、売買交渉は非常に難航しました。

最悪の場合、会社を解散させなければならないのですが、その場合は税金が余分にかかるし、不動産売却に伴って安い金額でしか売れずに損をしてしまう可能性がありました。

 
解決内容
株式の保有割合が均等であるため、会社の支配をどちらもできず、交渉は非常に難航しました。
お互い、売買代金額を譲らず、膠着状態に陥りました。

しかし、最後は、依頼者に解散を決意してもらった上で交渉に臨み、長女側から株式を買い取ることに成功しました。
買取金額については、当初長女側から提示されていた金額に比べれば相当程度低下させることができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
遺言者は良かれと思い、株式を半々ずつ相続人に持たせることがあります。
もしくは、遺言で株式の帰趨を決めずに亡くなられるケースも少なくありません。

しかし、これは地獄への入口といっても過言ではないでしょう。
これがために会社はフリーズし、最悪解散となってしまいます。
今回は運良く解決できましたが、そういう苦しみを相続人に与えないように準備をして頂きたいところです。

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