依頼者:妻(70代)
相手方:夫と前妻との子ども

事案内容(相談までの背景)
夫が亡くなり、遺産として、中古住宅や消費者金融からの借金が残りました。相続人は、妻と2人の子ども、そして30年前に離婚した前妻との間の子ども(A子)の4人でしたが、A子と妻は全く交流がありませんでした。妻は、とりあえず自分のお金で借金を返済しましたが、A子の連絡先は全くわからなかったため、遺産分割協議ができず、当事務所に相談されました。そこで、当事務所でA子の住所を調べ、遺産分割調停を申立てました。

 

解決内容
A子は、弁護士をつけずに調停に出席しました。
A子は、離婚に至ったことに対する不満など相続とは無関係の主張を繰り返し、またこちらの提案に対してはことごとく反対しました。

 
実は、遺産のうち、消費者金融からの借金は、払いすぎの状態にあり、逆に消費者金融に対しお金(過払金)を請求できる状態になっていたのですが、調停が成立せず、審判となってしまった場合には、A子は、消費者金融に対して、自分で過払金を請求する手続をせざるを得なくなります。
当方は、このような調停が成立しなかった場合のデメリットをいくつも説明し、粘り強く提案を行いました。

 

その結果、A子の態度も徐々に軟化し、最終的には、過払金返還請求権を妻が取得し、また中古住宅についても売却することで合意し、調停手続内で売却して、現金化することができました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
現在の妻子と、前妻との子どもとが相続人になる場合には、感情的な対立が極めて激しくなります。遺言があっても遺留分をめぐって紛争となり、遺言がなければ遺産分割協議など到底できませんので、遺産分割内容をめぐって紛争となることが多いです。

 

本件では、調停を成立させることのメリット、審判になってしまうことのデメリットを、それぞれ具体的に主張して相手方に伝え、粘り強く提案を続けたことが、調停成立につながったと感じました。