依頼者:妻(80代)
相手方:元養子(30代)

事案内容(相談までの背景)
娘と結婚した男と夫婦とが養子縁組をしましたが、男が不義理を働いたため、夫婦は男と協議離縁をしました。ところが、夫が死亡し、男が娘と離婚した後、男が上記離縁届は無断でされたものであるから無効と主張し、離縁の無効を確認する訴訟を提起しました。

 

問題点
協議離縁届が無断で作成されたものであるか否かが争いになりました。もし、無効であるならば、男に相続権が発生し遺産分割をやり直す必要が生じるところでした。
 

解決内容
まずは、離縁届を男が作成したことを証明するため、離縁届作成時の男の筆跡が分かる資料を探しました(会社への提出書類や各種申請書類)。裁判所には筆跡に関する資料を多数提出し、筆跡鑑定を行う準備を進めました。
 
並行して、離縁届を提出する経緯を主張立証し、当時、男が経済的に困窮していて離縁届を出さないと養親に迷惑をかける状況であったことや不義理をしたこと等を説明しました。
 
訴訟提起から10か月が経過した段階で和解の機会を持ち、当方が2、30万円程度払って和解することも可能と伝えたところ、男側がこれに応じ、和解が成立しました。

 

bengosi解決のポイント(所感)
娘の夫を養子とするケースは沢山あります。しかし、離婚後も養子縁組関係は残ったままとなります(本件は離婚前に離縁)。したがって、きちんと離縁をしておかないと自分が死亡した後、相続権が発生してしまうので注意が必要です。娘と離婚した後ならば比較的容易に離縁ができますので、忘れないうちに離縁を行うべきです。
 
また、離縁届を作成する場合は認め印等で押印することも可能ですが、できる限り養子しか持っていない実印等で押すのがいいです。本件では、娘が管理していた印鑑で押印したため、成立の真正を容易に立証できなかったです。
 
なお、筆跡鑑定には2、30万円はかかりますので、早期に和解することは双方にとってメリットのあることでした。