私には,息子と娘がいます。妻はいません。
2,000万円の預金と不動産を有しています。不動産の価値は,預金と同じくらいです。

息子には不動産を,娘には預金を渡したいと思います。
まだ会社を定年退職したばかりですが,遺言を書く際に,何か注意すべき点はありますか。

答え
遺言を書くときの注意(2)の続きです。

 

遺言を作成し,「娘にはA銀行B支店の定期預金2000万円を相続させる」と記載したとします。
あなたが亡くなったときに,この定期預金が解約されていたら,どうなるでしょうか。

息子さんの場合と同様に,預金をもらえないということになります。

 

しかし,言葉を変えて,「相続させる」ではなく,「遺贈する」と書くと,意味がまったく変わってきます。
この場合は,たとえ解約されていても,2,000万円を遺贈されたものと推定されます。つまり,遺産から2000万円分の金額を受け取れることになります。

これに対し,預金が普通預金だった場合はそうはならず,遺贈の額はゼロとなると考えられています。

 

参照条文

民法1001条2項 金銭を目的とする債権を遺贈の目的とした場合においては、相続財産中にその債権額に相当する金銭がないときであっても、その金額を遺贈の目的としたものと推定する。

※普通預金は,額が変動することが通常であるため,この条文が適用されないと考えられています。