意外と狭い相続人の範囲

「意外と狭い相続人の範囲」 弁護士 片岡憲明

少子高齢化社会が進む中、1人で死を迎えるお年寄りは確実に増えてきています。

先日、2017/04/16の日経新聞に次のような記事が載っていました。

「おひとりさま」増え…遺産の国庫納付 10年で2.5倍 年400億円に(記事リンク

意外と狭い相続人の範囲

相続人がいない場合、その方の財産は全て国家に帰属する(財産が国庫に入ります)ことになります。

「天涯孤独で相続人がいないならまあ、仕方がないよね。」と思われるかもしれませんが、兄弟がいない独身者は相続人がいない場合があると言われれば、「え!?意外に相続人の範囲って狭い!」と思われるのではないでしょうか。

そうです。相続ができるのは、親などの直系尊属、子供などの直系卑属、兄弟姉妹(とその子供)に限定されているのです。

以前、相談があった事案では、甥の相続が問題となった事案がありました。

毎日のように甥と行き来していた方が、甥の高額の遺産が全て国に行くのはおかしい、ということで相談に見えました。

相続人がいない場合が、原則として遺産は国庫に帰属しますが、生前故人と縁があった特別縁故者には財産の一部を分与してもらうことができるのです。

この制度については、どのような場合にいくらもらえるか裁判例の集積がありますので、後日説明したいと思いますが、国庫に遺産を入れたくなければ、ちゃんと遺言書を書いておくべきだと思います。

とは言え、親戚の人に遺言書を書いた方がいいと勧誘するのは非常にいやらしい為、そのまま放置してしまうケースも多いだろうと思います。

本人さんに国庫帰属の説明をし、自発的に対策をとってもらうよう上手に誘導するしかないでしょうね。

※平成30年8月28日時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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